コカ・コーラシステムが昨年4月にペットボトル(PET)コーヒーを発売し本格展開している欧州のカフェブランド「コスタコーヒー」が急速に認知拡大している。日本コカ・コーラの和佐高志マーケティング本部バイスプレジデント最高マーケティング責任者は「フラッグシップとしてのカフェ形態の展開に加えて、特に第2四半期(2021年4-6月)に入ってからのTVCM効果もあり、『コスタコーヒー』ブランドの認知がものすごく高まっている」と説明する。
コカ・コーラシステムは、飲料事業を主軸としつつ新たな可能性の探索として清涼飲料水以外の新領域開拓を加速しているが、「コスタコーヒー」はコカ・コーラが「ホワイトスペース」と称する新領域に踏み込んだブランドという位置づけだ。
「ホワイトスペース」にはアルコール、チルド商品、手淹れのコーヒーなどが含まれ、それらを合わせた市場規模は約7兆円に上ると同社は見積もる。レモンサワー専門ブランド「檸檬堂」という成功例もあるが、コーヒーでは手淹れのコーヒーを含めた「トータルビバレッジ」で成功を目指していく。
「コスタコーヒー」は、コロナ禍で急増しているレギュラーコーヒーなどの手淹れコーヒーしか飲まない人(非RTDコーヒーユーザー)にアプローチすることで、「ジョージア」との棲み分けを図っていく。
日本コカ・コーラの調べによると、コーヒー総市場は3兆円規模。この中でユーザー数は、PETや缶のコーヒー飲料(RTDコーヒー)が600万人規模であるのに対し、手淹れの非RTDコーヒーは4千万人規模に上る。
RTD・手淹れの併飲層は2千400万人規模で、「コスタコーヒー」が狙うのは非RTDと併飲層を合わせた6千400万人規模となる。これに対し、「ジョージア」ではこれまで通り、RTDと併飲層を合算した3千万人規模をターゲットにしている。
「コスタコーヒー」のRTDは現在、「コスタ ブラック」「コスタ カフェラテ」「コスタ ラテ エスプレッソ」をラインアップし、「今年のマーケットのバリューシェアは約1%」という。
手淹れについては、すでにテイクアウト専門のコーヒー店や無人カフェマシンの「エクスプレス」などを数百か所で展開しており、今後この動きを加速していく。
「2022年以降、プレミアムのRTDコーヒーを主軸にしながら、われわれのホワイトスペースを展開していく」と意欲をのぞかせる。
コカ・コーラのコーヒー飲料としては「ジョージア」と「コスタコーヒー」のデュアルブランド戦略を遂行していく。
「『コスタコーヒー』と『ジョージア』のカニバリはすごく少ないと認識している。2021年、『ジョージア』が競合の積極的な活動によって厳しい1年になったのは否めない事実。2022年は『ジョージア』のプログラムを大幅に刷新していく」と語る。