クラフトビールを守れ ジンに再生、店舗支援

新型コロナウイルスによる外出自粛で外食産業が大打撃を受けている。とりわけアルコールを提供する業態では営業自粛や休業によってコロナ倒産が相次いで出始めた。その中、茨城県の酒造メーカーが料飲店支援の一環として、開封前の在庫の生ビールを回収した上で蒸留し、クラフトジンとして再生させた上で瓶詰めして送り返す取り組みをスタートさせ、逆境に頭を抱える料飲店経営者の関心を集めている。

「SAVE BEER SPIRITS」と名付けたこの取り組みは4月14日、木内酒造(茨城県那珂市)が呼びかけたもの。全国からの問い合わせはすでに30件近く集まっている。

取り組みの骨子は

①事前相談および予約
②飲食店等から未開封のクラフトビールと輸入ビールを同社蒸留所2か所(八郷醸造所・茨城県石岡市、東京蒸留所・東京都千代田区)のいずれかに送付
②それぞれの蒸留所で一定数が回収されたのち蒸留
③「SAVE BEER SPIRITS」をラベリングした750㎖瓶にクラフトジンを詰めて返送

――の流れ。

施設内イメージ(木内酒造・八郷醸造所)
施設内イメージ(木内酒造)

最低20ℓから受け付け、出来上がったクラフトジンは7月末をめどに送り返す予定で、ビール20ℓで7ℓのクラフトジンができるという。配送料等は飲食店負担だが、蒸留コストその他は木内酒造が負担する。

木内酒造は3年後に創業300年を迎える老舗酒造メーカー。清酒、クラフトビール、焼酎、リキュールなど幅広い酒造りを行っている。1996年からはクラフトビール「常陸野ネストビール」の製造をスタート、地元・茨城を手始めに、首都圏、全国へと販路を拡大した。

2000年、2001年にはドイツDLG品質保証制度を連続受賞、2002年には「The Brewing international Awards」でチャンピオンビールに選ばれるなど海外での高い評価から米国、欧州を中心に50か国へ輸出。現在、売上げにおけるビール構成比は50%を超えている。

今年2月からは本格的なウイスキー作りに向け八郷蒸溜所を立ち上げているが、今回これが奏功した形となった。「これまで国内市場でクラフトビールを育てていただいた料飲店の皆さまへの感謝であり、再出発の一助になれば」(萩谷真千子氏・同社企画室)と抱負を述べている。なお同社では、消毒用エタノール代換品としてアルコール分70%の「NEW POT70」の販売を開始した。