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2026 / 02 / 07 土曜日
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新春特別記事アサヒビール株式会社 代表取締役社長 塩澤 賢一氏

アサヒビール株式会社
代表取締役社長 塩澤 賢一氏

 -―足元の環境をどのようにご覧になりますか。

塩澤:景気は緩やかに回復しているが消費増税後の消費動向変化の判断は難しい。多くの経済対策が実施され影響は大きくない。食品に軽減税率が適用されたことで、外食と家飲みの比率に変化があるかを注視しているが、現時点ではっきりとしたことは言えない。気候などの要因もあり少し長い目で見るべきだろう。

 -―19年のビール類事業はいかがでしたか。

塩澤:基幹ブランドの強化と新需要の創造を掲げビール類市場の活性化に取り組んだ。主力の「スーパードライ」では中長期のブランドテーマ「ザ ジャパンブランド」を制定。最高の品質の提供と飲用機会の拡大に取り組んだ。その一環として、製造後翌日出荷となった鮮度パックを発売。10月からはアマゾン限定で「アサヒスーパードライうまさ実感チルド便」をテスト販売しており、好評だ。

業務用では「エクストラコールド」の新型専用タップを展開するにあたり、提供する品質基準を改めて飲食店へ説明しながら切り替えを進めることで提供品質の向上に取り組んだ。

瓶ビールの存在自体を改めて認知してもらうために飲食店向けポスターをテスト展開。掲出店では瓶の売上本数が前年比140%と上昇。6月から全国展開を始めている。

瓶は提供オペレーションが簡易で従業員の負荷軽減にもつながる。消費者、飲食店のいずれにもメリットがある。

これらの活動を通して第3四半期での当社調査では「スーパードライ」の購入意向率や3ヶ月飲用経験率が前の四半期、前年同期を上回る成果を得た。

新ジャンルでは主力の「クリアアサヒ」ではロイヤルユーザー1人当たりの飲用量も上昇。1月発売の「極上<キレ味>」は当初目標の300万箱を、9月に500万箱へ2度目の上方修正、12月11日に達成した。麦100%の飲みごたえと共に訴求した「冴えるキレ」が特に好評で今後も磨いていく。

 -―若年ユーザーへの取り組みはいかがでしたか。

塩澤:4月には「スーパードライ」ブランドで若年層の新需要創造を目指す、もう一つの「スーパードライ」という活動テーマを掲げた初の業務用市場向け商品「スーパードライ ザ・クール」を投入。苦みや渋みを抑えることでスッキリとした味わいに仕上げた。若年層は友人らと飲食店などで酒を楽しむ傾向が強く、若者が多く集まる業態を中心に、瓶から直接飲用するスタイルを提案して好評。現在は約4千の飲食店で採用されており、今後も数量を追うのではなく、ブランド育成に注力していきたい。

4月には「スーパードライ瞬冷辛口」のクオリティアップも行っており、飲食店で「ザ・クール」を飲用した若者が家庭で「瞬冷辛口」を楽しむようなサイクルを創出したいと考えている。

 -―ビール類以外のカテゴリ―はいかがでしょうか。

塩澤:ウイスキーでは主力の「ブラックニッカ」ブランドでシーンや飲み方の提案を強化し、7年連続で過去最高の売上を達成見込みだ。また国産ウイスキー需要が高まっていることを受け、15年から21年にかけて150億円を投資し生産能力の増強を図っている。輸入ウイスキーも「ジャックダニエル」などが好調で前年を超えている。

RTDでは「もぎたて」「ウィルキンソン」「贅沢搾り」に注力。焼酎では甲乙混和No.1の「かのか」で飲み方提案を強化。食との相性を体験する企画も実施した。乙類では芋焼酎「金黒」で、タレントの壇蜜さんを起用した訴求が好評。炭酸割の「キンクロタンサン」といった提案も強化した。

ワインでは日本ワインの「サントネージュ」が伸長。中長期的な育成に取り組んでおり、一昨年に取得した北海道余市町のブドウ畑に隣接する畑を2月に追加取得。23年にファーストヴィンテージとして約2千箱を予定している。

ビールテイスト清涼飲料ではドライゼロ単体が前年を超えて推移。サンプリングを実施し飲用シーンの強化を図る。

 -―環境問題への取り組みはいかがでしょうか。

塩澤:グループの「環境ビジョン2050」では50年までに事業活動での環境負荷ゼロを目指すなどしており、グループの独自技術や知見を活かした新たな環境価値創造に挑む。製造の一部にグリーン電力を活用、今年もその対象範囲を拡大する。また容器包装の環境配慮も進めていく。

 -―20年の市場をどのように考えていますか。

塩澤:酒類全体での減少傾向が続くと考える。ビール類が若干の減少、RTDとウイスキーは増加、ワインは微減、焼酎は前年を下回るだろう。

 -―厳しい環境にどのように対処されますか。

塩澤:「スーパードライ」の拡大が重要と考える。11月には新たなブランドメッセージ「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」を策定し新CMも開始。12月度前期CM好感度調査で酒類部門1位となり効果もみられるようになった。

 -―東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が迫っています。

塩澤:全国のあらゆる地域で盛り上げ、市場を活性化することはビールメーカーで唯一の東京2020ゴールドパートナーである当社の責務だ。「スーパードライ」の缶と瓶にはオフィシャルビールの記載や大会エンブレムをデザインするほか、様々なプロモーションを展開し「スーパードライ」の魅力を世界に発信。世界で一番愛されるブランドを目指す。

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