食肉加工大手 前期は利益面で厳しさ 食肉、海外事業の不振響く

大手食肉加工メーカーの3月期決算概要は別表の通り。日本ハムが減収減益、伊藤ハム米久ホールディングス、丸大食品が増収減益、プリマハムが増収増益(営業利益段階)。コンシューマーの主力商品が堅調に推移する中、PBや業務用、ギフトの苦戦、国産・輸入鶏肉や豚肉の伸び悩み、相場安、海外事業の不振などが影響し4社中3社が減益に。19年度は消費増税も控え、消費環境はさらに厳しさを増すことが予測される。価格訴求に傾くことなく、消費者に選ばれる商品の開発、新たな市場の開拓が求められる年となりそうだ。

日本ハムの畑佳秀社長は「売上高は期初に立てた業績予想の94%にとどまった。環境の変化や災害損失などもあり厳しい決算」と振り返る。構成比57%を占める食肉事業が前期比127億8千万円減となったほか、加工食品を除く全区分が減収となったためトータルでも減収になった。伊藤ハム米久ホールディングス、丸大食品、プリマハムは増収。加工食品事業の主力コンシューマー商品が堅調に推移したことに加え、食肉事業の販売数量が伸びたことなどが寄与した。

利益(営業利益)は日本ハムが29 .6%減、伊藤ハム米久ホールディングスが32 .8%減、丸大食品が4 .9%減。日本ハムは課題であった加工事業本部の粗利益は改善したものの、食肉事業や関連企業事業(水産、乳製品)、海外事業が収益面で苦戦、全体では減益となった。

伊藤ハム米久ホールディングスは、加工事業において各種コスト増を販売価格に転嫁できず26 .5%減、食肉事業が海外事業の苦戦が響き35 .6%減。食肉事業が前期比40億減になった要因を宮下功社長は「ほとんどがアンズコフーズ社の調達コスト上昇などによる収益減の影響」と説明する。

また、丸大食品は調理加工工場の立ち上げに伴う初期コスト増もあったが、調理加工食品部門は前期比14 .3%増と好調に推移。「新工場は4~5月も計画通り推移している。今期より売上げ、利益ともに貢献する」(百済徳男社長)。一方、食肉事業が輸入冷凍牛肉収益性の低下の影響で9 .1%減の13億8千万円マイナス。全体の減益に響いた。

プリマハムは食肉事業が国産豚肉の相場安や鶏肉相場の低迷が大きく影響し37 .4%減となったが、加工食品事業が4 .4%増の122億円と堅調に推移したため全体は増益。ハム・ソーセージ部門のシェアアップ、加工食品部門のコンビニ向けベンダー事業の売上げ拡大により利益、生産性が大幅に向上したことが寄与した。

20年3月期の通期予想は日本ハムが増収(今期より営業利益を事業利益の開示に変更するため前期比は未公開)、伊藤ハム米久ホールディングス、丸大食品、プリマハムは増収増益。