“利益成長”が目標に 海外は500億円視野 加藤産業

加藤産業の加藤和弥社長は上期の決算会見において、年間で400億円規模になった海外事業の展望、卸売業におけるAIの取り組みなどについて次の通り見解を述べた。

【卸売業のAI】

卸売業がAIを活用する可能性としてはまず物流。小売業の需要予測と同様、物流でも需要を予測するということが人や車の手配、在庫の問題まですべてに絡んでくる。卸にとって物流経費は大きな比率を占めているので、仮にAIによって10%でも合理化ができれば卸の利益率はまったく変わってくる。

【海外事業の展望】

年間で400億円強。500億円も見えるようになってきた。マレーシアはそれなりの規模になったが、シンガポール、ベトナムはそれぞれの国の中で見れば、まだ中小の卸売業だ。海外はサプライヤー、つまりメーカーが問屋を選ぶので、ある程度の売上規模でプレゼンスを持ち、選ばれる問屋にならなければならない。そうなれば堅調に伸びるし、ならなければ継続的に成長するのが難しい構造になっている。

ようやく海外の各国が連携し情報共有ができるレベルまできたが、実際にビジネスとして一緒に動けるところまではまだいっていない。一つひとつが点なので、これらをネットワークにしてASEANを面で押さえるのが大きな目標になる。

【日常消費と景気】

われわれのビジネス環境は厳しくなっていると思われるが、経済指標を見ると景気が悪いとは言えない。普段向き合っている日常の消費とGDPに連動するような経済活動とのギャップが大きくなっている。

消費が景気に左右されない時代になり、そういう議論が意味をなさなくなっているのではないか。

【成長戦略】

卸売業のビジネスだけを見れば、売上げの成長は利益の成長のために必要な手段だが、それに頼りながら規模を拡大することが、そろそろしんどくなってきた。これからは売上げ額を追って、それにつれて利益が伸びるという方向性ではなくなり、目標を売上げ成長よりも利益成長に置くことになる。

海外事業やわれわれが得意とする開発商品など、利益を成長させるために必要なものが、もともとの卸売業のビジネスとは違うものになるだろう。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)