今年もインフルエンザのシーズンがやってきた。例年だと11月あたりから次第に感染者数が増え、12月に急増。1月下旬から2月初旬にかけて感染者がピークになる傾向だ。中でも子供への感染は非常に危険で、毎年、学級閉鎖も出ている。
こうした中で、ふだん飲んでいる紅茶が実はインフルエンザウイルスの感染を防ぐことに役立つことが明らかになり、11日に開かれた日本紅茶協会主催の講演会で中山幹男医学博士(バイオメディカル研究所特別研究員)が解説した。中山氏は消毒薬製剤の抗ウイルス効果について企業からの委託試験を行っており、マウスノロウイルス研究の権威。
簡単に言うと、「紅茶にはテアフラビンという有効成分が含まれており、これがインフルエンザウイルスの突起に付着する性質があり、テアフラビンがついたウイルスは細胞に吸着できないので感染力を奪う」とし、「緑茶やウーロン茶にもその効果はあるが、紅茶は際立っている」。
ソ連かぜ(H1N1)、ホンコンかぜ(H3N2)などのA型ウイルスと、B型ウイルスを使用して実験した結果、通常飲む市販紅茶の5分の1の薄さでもウイルスの感染性を10秒で100%失わせることが分かった。ウイルスの生きた細胞に対する吸着能力を失わせるため、すべての種類に効果が認められ、「新しく誕生した新型ウイルスにも効き目は変わらない」と言う。
そこで中山氏は「感染を広げないために、感染者が健康な人にウイルスをうつさないことが大事」とし、患者自身が紅茶を飲むことを勧めている。さらに「インフルエンザの治療薬であるタミフルを服用してウイルスの増殖が抑えられ熱が下がっても、ウイルスの排出は低いながらも感染6日まで続いており、周りの人に感染させることがある。つまり、熱がなく、治ったと思っている児童からうつされてしまう」とし、「流行期にクラス全員が紅茶を飲めば学級閉鎖は防げる」。
しかもレモンティーにすると効果が数倍高くなり、カフェインを除いたデカフェ紅茶でも同じ効果が期待できることから、子供も安心して飲め、砂糖を入れても効果は変わらないと言う。「紅茶には咽頭粘膜の抗炎症作用もあり、のどの痛みもかなり和らぎ、マスクや手洗いとともに紅茶を飲む習慣をつけてほしい」と中山氏。インフルエンザのシーズンを前に各方面で訴えている。
日本紅茶協会では、早くからポスターを通じて「知ってましたか? 紅茶がインフルエンザに強いって。」をキーメッセージに、紅茶によるインフルエンザウイルスに対する効果試験を公表。紅茶ティーバッグを使用した試験結果を交えながらメカニズムを啓発している。特に小学校への活動を強めていく。