業務用総合商社のヤグチは9月15日で創業80周年を迎えた。これに先立ち、5日には都内ホテルで「ヤグチ仕入先様の集い」を開催。萩原啓太郎会長兼社長が仕入先・得意先への感謝の言葉を述べるとともに、来期の売上高1000億円達成を通過点として、さらなる成長を目指す方針を示した。
1945年9月15日、終戦から1か月後という混沌の中、故・並木三五郎氏と故・萩原弥重氏の共同経営でヤグチの前身である「矢口屋商会」が発足した。マルヤ印の缶詰をはじめとする一般食品問屋を手掛けてきたが、経済成長に伴う外食産業の発展をいち早く予見し、1964年に外食産業向けの食材専門商社に転換。1965年には缶詰開缶見本市(現在のヤグチ見本市)を開催、翌66年には業務用食品の販売店・メーカーによるマルヤ会を結成。今日の業務用食品流通の礎を築くとともに、外食産業の発展と業界の地位向上に貢献してきた。
5日の会合で、ヤグチの萩原啓太郎会長兼社長は「仕入先・得意先さまのご支援の賜物であり、多くの皆さまに支えられ、80周年を迎えることができた」と感謝の意を示したうえで、「来期には売上高1000億円を達成し、これを通過点として、次の90周年、100周年に向けて、皆さまと一緒になって外食市場のさらなる発展と売上・利益の拡大に貢献していく」と力強く語った。

仕入先メーカーを代表して、味の素冷凍食品の寺本博之社長は「ヤグチさまの社名には、知(矢・口)を商う会社、知を産して業となすという想いが込められている。創業者の萩原弥重氏は経営者の心構えとして、常に自らを律し、物腰はやわらかく、取引先・社員への感謝を忘れず、そして利益をしっかりと確保するよう仕事に取り組まれてきたとうかがっている。その姿勢は萩原啓太郎社長にも受け継がれている」と語った。
そのうえで、寺本氏はヤグチの社外取締役を務めた2019年から3年間を振り返り、「コロナで大変厳しい時期だったが、当時35歳という若さで就任された(萩原)啓太郎社長のもと採算管理を徹底し、コロナの危機を乗り越えられ、新たな得意先を獲得し、業績を伸ばしてこられた。今後も強くしなやかなマネジメントで、ヤグチさまがさらに発展し、今後も販売店さまとメーカーの橋渡しをお願いしたい」と期待を寄せた。
懇親会では、ニイタカの野尻大介社長が半世紀前、当時の新高化学工業(現在のニイタカ)が関東進出にあたり、ヤグチの事務所を間借りして営業活動を行ったことや、業務用食材卸店の新たな商材として、外食産業向けの業務用洗剤の拡販に取り組んできたエピソードを紹介。「今後も様々な変化に対応し、お客様の課題を解決し、新たな需要を創造する商品・サービスの提案に努め、ヤグチさまとともに業務用市場の発展に貢献する」と祝辞を送った。