三井倉庫ロジスティクスは3月、顧客ニーズの高度化、また深刻化する人手不足やコスト削減に直面する飲食業界に向けて新たなソリューションを提案すべく、スイスの業務用全自動コーヒーマシンメーカー「FRANKE(フランケ)コーヒーシステムズ」の最新モデル「Mytico(ミティコ)」の発売を開始した。
同製品は、同社の主力であるフルオートエスプレッソマシン「A」シリーズと同様の高性能な内部構造を有し、エスプレッソ抽出に関する専門的な技術や経験がなくとも高品質なエスプレッソを抽出することを可能とする。
特筆すべきは、演出性の高さにある。
「ミティコ」は、マシン操作中の動作や音、デザインにおいて、まるでバリスタが一杯ずつ丁寧に淹れているかのような臨場感を演出できる点が最大の特長。
この演出部分が従来の「A」シリーズとは一線を画する点であり、「ミティコ」最大の特徴となる。

取材に応じた奥津忠行営業本部ビジネスソリューション統括テクニカルロジ営業部長は「人手不足と最低賃金が上がり、さらにはコーヒー豆などの原材料価格が高騰する中で、『ミティコ』はオペレーションの効率化とサービス向上を両立させる。導入頂いた店舗様では、スタッフへの教育時間の削減・省人化につながり、かつクオリティの高い商品でサービスも向上し単価アップが図れる」と力を込める。
「ミティコ」のコンセプトは「Beyond Traditional」。
「ミティコ」のマシントップまでの高さは51センチと低めに設計されており、来店客がカウンターなどから「ミティコ」を操作している従業員を眺めるとスタッフの熟練の技が光るように映る。来店客側に伝統や熟練の雰囲気を醸し出す一方で、その内実はオートマシンによる簡単操作となる。
「『A』シリーズで培った機能性を有しておりコーヒー豆を挽くところから抽出までを一元管理している。これにより従業員の負荷を減らしながらも、ビジュアルとしてはセミオートマシンの外観となる」と胸を張るのは、テクニカルロジ営業部 CS営業ユニット長の長谷川哲生氏。
「ミティコ」はほとんどの工程が自動化されており、従業員は仕上げにオートスチームで作られたミルクフォームを注ぐだけで提供するカップが完成し、来店客との会話に集中することができる。

バリスタの所作を再現するための工夫は随所に盛り込まれており、なかでも象徴的なのが「バリスタレバー」の存在である。操作のたびに、まるで熟練のバリスタが抽出作業を行っているかのような視覚的・身体的演出を可能にし、機械でありながらも“人の手による一杯”という体験価値を演出する。
「“バリスタレバー”と呼んでおり、レバーの上げ下げの動作がコマンドの役割を果たす。タッチパネル操作でもメニューの選択や抽出が可能だが、同じことがレバー操作でもできるようになっている」という。

単価アップや収益改善を後押しするのは、高機能スチームワンド「オートスチームプロ」。ミルクフォームの質を予め設定し、レバー1つの操作で自動的にできるようになっている。
テクニカルロジ営業部CS営業ユニット担当課長の森田聖信氏は「バリスタでもミルクに艶を出すのは難易度が高く、ミルクフォームづくりはスキルが要求される分野。『ミティコ』はそれを自動的にやってくれる。これまでのセミオートマシンでは、バリスタはミルクピッチャーを手のひらで包み込むように持ち、温度を確かめながらスチームする。注文が重なると、温かいままのミルクピッチャーを使い続けることになり、ミルクフォームの質にバラツキが出てくる場合があった」と説明する。
エスプレッソ抽出機構とスチーム機構を分離した構造により、カフェラテだけでなくカプチーノやフラットホワイトなどのバラエティメニュー、さらに豆乳・アーモンドミルク・オーツミルクなど植物性ミルクと組み合わせた多彩なドリンクの提供が可能となる。
ミルクのロス削減にもつながる点もポイント。
「スチームを人の手で行う場合、コーヒーにミルクフォームを流し込んだ後に、ミルクピッチャーにミルクが残ってしまうことがある。これを再加熱すると品質が劣化するため廃棄せざるをえなくなる。『オートスチームプロ』では適量のミルクをピッチャーに注ぎ、スチームワンドを差し込むだけでフォーミングができるので、ロス削減につながる」と語る。

1杯分あたりのコーヒー豆の使用量を減らしたいというニーズには、コーヒー豆をタンピングするタンパー部分にあたる抽出ユニットの口径を変更して対応。「口径は50ミリ、43ミリから選択ができ、口径が小さいと少ない豆でも厚みが出せてコーヒーの成分が抽出しやすくなる」(長谷川氏)と述べる。

「ミティコ」は2連構造で従業員2人が同時に使用できる。
オーダーを積み重ねられる機能があり、繁忙店で切れ目なく注文が入る場合、オーダー順に予約メニューが表示されて抽出される。これにより「注文内容をメモする必要がなくなり、そのために人を割く必要もなくなる」(森田氏)という。
1日の想定杯数は300杯。電源電圧は単相200V2系統もしくは三相200Vを1系統を使用する。
外観でも「Beyond Traditional」を演出。基本6色から選べるサイドパネルを用意している。
「サイドパネルはカラーチャートで指定をすれば216色から選べる。パネルの裏側にLEDライトを入れて光らせるオプションも用意している。まさにロマンス」と胸を張る。
なお前期(3月期)のコーヒービジネスの売上高はオフィスへの「A」シリーズの導入が大幅に拡大し、前年を上回った。
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