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2025 / 11 / 11 火曜日
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飲料系飲料UCCが試行錯誤して辿り着いた新ペットボトルコーヒー レギュラーコーヒー“水淹れ”してすっきり前提に“うまみまろやか”を実現
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

UCCが試行錯誤して辿り着いた新ペットボトルコーヒー レギュラーコーヒー“水淹れ”してすっきり前提に“うまみまろやか”を実現

 UCC上島珈琲は、試行錯誤を経て新ペットボトル(PET)コーヒーの開発に漕ぎつけた。

 開発したのは3月31日から発売している「UCC Cold Brew」(以下「Cold Brew」)ブランドの「 BLACK」と「LATTE」の2品。

 メインアイテムは「BLACK」。天然水100%抽出・レギュラーコーヒー100%使用・香料無添加の設計はそのままに、昨年発売した「Cold Brew」の前身商品から得られた知見をもとに改良を加えた。

 取材に応じたブランド担当者は「『Cold Brew』は20‐30代をターゲットに毎年磨きをかけているが、2024年は路線を少し変更し、ターゲットを10歳高めて本格コーヒーを追求した。その結果、販売動向をみると、消費者の声もありリニューアルしたものの、コーヒー感とすっきりさを両立させることが求められていることがわかった」と振り返る。

 「BLACK」は、改めてターゲット層を20‐30代のコーヒー若年層に定め、PETに求められるすっきりとした味わいを前提に、コーヒー専業メーカーならではのこだわりにより“うまみまろやか”を実現した。

 「今回は水淹れアイスコーヒーに焦点を当てて、水淹れアイスコーヒーのおいしさを追求するため、レギュラーコーヒー豆と焙煎を中心に見直した。フルーティさが特徴のコーヒー豆を配合し、独自の焙煎プロファイルを採用して、すっきり、うまみまろやかなアイスコーヒーに仕上げた」と胸を張る。

 抽出にも磨きをかけた。

 「低温での加水時間を前身商品よりも長くすることで、より香り高いブラックコーヒーに仕上げた。水淹れコーヒーならではのおいしさを試行錯誤したところ、すっきり感を前提とし、まろやかなコーヒー感を実現するためにもろもろ改良した」と説明する。

 パッケージには、“水淹れCOFFEE”と記載した。

 「今まで“水出し”と謳っていたのを“水淹れ”という新しいワードで訴求しているところが大きなポイント。“水淹れ”という言葉の響きからくる“丁寧につくりあげる”イメージで、新しいPETコーヒーやアイスコーヒーの選択肢としてお客様に提案したい」と力を込める。

 UCCは水淹れコーヒーを、飲料・嗜好品の家庭用商品、外食直営店舗でのメニュー展開、業務用チャネルでの製品展開・外食店への提案など、国内外問わずあらゆる販売チャネルを通じてアイスコーヒーの新定番として提案していく。

 家庭用第一弾商品は「UCCゴールドスペシャル コーヒーバッグ 水淹れアイスコーヒー」「UCC職人の珈琲 コーヒーバッグ 水淹れアイスコーヒー」「UCC Cold Brew 水淹れアイスコーヒー」の3品。

 多様化するコーヒーへのニーズに対応し、コーヒーの産地、焙煎度合い、1バッグのコーヒー量、コーヒーバッグのフィルターの違いなどで、水淹れコーヒーでもブランドごとに幅広い味覚を品揃えしている。

 「Cold Brew」は、水淹れコーヒー家庭用第二弾商品の位置づけとなり、他カテゴリへの橋渡し役も担う。
 「“水淹れ”という訴求をカテゴリ横断で行うことで、いろいろな方々に価値提供できると考えている。嗜好品は40‐60代がメインユーザーになっているため、飲料で20‐30代のコーヒーエントリーユーザーを獲得して、嗜好品にも興味を持っていただくことが、UCCとしては一番望ましい」との見方を示す。

 「Cold Brew」のパッケージは、“水淹れCOFFEE”と記載したことに加えて、新しいアイスコーヒーの文化として、日本的な美意識と禅のミニマリズムになぞらえ、よりシンプルでスタイリッシュなものへと進化させた。

 「 BLACK」は水色と墨色との澄みきったツートーンを基調とし、「LATTE」はベージュ色と墨色のツートーンにして対照的な魅力が引き立つようにデザインされている。

 「最終的に社内の若手を集めて意見を聞きながら、評価が断トツに高いものを決定した。発売後、所感としては、一見、コーヒーには見えないスタイリッシュなデザインが受け入れられているようだ」述べる。

 コーヒーであることを知らしめる補完的な施策としては、“アイスコーヒー”“水淹れコーヒー”を謳った首掛けPOPを用意している。

「UCC Cold Brew LATTE」
「UCC Cold Brew LATTE」

 「LATTE」の味わいは、「 BLACK」同様にフルーティさが特徴のコーヒー豆を配合し、独自の焙煎プロファイルを採用。
 その上で「前身の『LATTE』で“少し甘さが強い”というお声をいただいていたため甘味度を抑えて、カフェラテならではのすっきり飲みやすい味わいに仕立てた」。

 初回導入から最需要期にかけて主要コンビニチェーンの導入も決まっており、ターゲットユーザーである若年層の獲得を狙う。

 最需要期の夏場に向けた需要喚起策としては5月に体験の場を予定している。

 体験の場では「製品を配るだけでなく、ターゲットにブランドや製品価値をしっかり伝えられるようなやり方を考えている」と語る。

 UCCは、近年の気候変動の影響などから日本の年間の平均気温が上昇していることに伴い、止渇性と嗜好性を兼ね備えたアイスコーヒーについても長くなる夏とともに需要は拡大傾向にあるとみている。

 UCCが昨年4月26日から5月1日かけて関東圏と関西圏在住の20~60代男女600人に実施した「アイスコーヒーに関する実態調査」によると年間を通して“ホットコーヒーよりアイスコーヒーを飲むことが多い”と答えた人は約4割、中でも20代は過半数がアイスコーヒー派であることが明らかになった。

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