新潟の菊水酒造(新発田市)は“発酵エンターテインメント”をキーワードにした新施設「KIKUSUI蔵GARDEN」を4月29日にオープンさせる。
館内は「ラボ」「ショップ」「カフェ」の3エリアで構成。蔵元限定の生原酒や酒粕を使った食品、スイーツを提供するほか、子どもから大人まで発酵と音楽、伝統、芸術などを楽しめる体験型のイベントやワークショップも展開する。
新施設のコンセプトは「Discovery」。訪れた人が発酵の魅力を五感で体験し、新たな発見をする場所となることを目指した。新事務所棟を含めた総投資額は約15億円。初年度の来場者数は約1.5万人を見込む。

髙澤大介社長は「当社は日本酒メーカーだが、高品質なモノづくりは当然のこと、生活者に『面白い』『楽しい』と感じていただけるコトづくりも重要だと考えている。発酵と言ってもお酒、味噌、醤油、麹、甘酒、チーズ、化粧品など多岐にわたる。新施設はそれらの価値や奥深さを体感してワクワクできるような場にしていきたい」などと話した。
施設をすべて木造としたことも注目される。一部の天井や梁には髙澤家の本家がかつて使っていた醤油蔵の古材を活用した。日本ならではの伝統的な雰囲気が感じられ、耐震性にも優れるという。
「ショップ」は店舗限定品を多数用意。オーダーをとってから直接瓶に詰める「蔵元限定しぼりたて生原酒」をはじめ、地元菓子店とコラボした「酒粕マドレーヌ」、酒席を盛り上げる「菊水オリジナル うぐいす徳利」などを販売する。

「カフェ」は、著名な田中泰阿弥氏が作庭した枯山水の日本庭園を眺めながらゆっくりと過ごせる空間。菊水オリジナル珈琲、酒粕を使ったチーズケーキ、ベーグル、スコーンのほか、地元月岡ブルワリーとコラボしたクラフトビール(酒米「菊水」使用)も提供する。
「ラボ」は発酵をテーマに体験型のワークショップを月に数回ずつ開催。多くの地元企業らとタッグを組み、鮨と日本酒のマリアージュ体験、酒粕スコーンづくり、親子の発酵あんパンづくりなどを予定する。小人数を対象にした2日間の酒造り体験も用意。「新米新酒」の時期に合わせ、「ふなぐち祭り」と銘打った蔵開きイベントも企画中。
4月29日のグランドオープンにあわせ、GW期間中はコンサート、書道パフォーマンス、落語会なども実施し盛り上げる。
髙澤社長は「幅広い世代の方にお越しいただきたいが、特にライフスタイルが確立される30~40代に発酵の魅力を知っていただく機会を作りたい。ラボには電子顕微鏡を設置しており、子どもたちも楽しく醤油や味噌の発酵を学べる」とした上で、「人と人の触れ合いで化学反応が起こるとよく言われるが、私は発酵が起きていると思う。『KIKUSUI蔵GARDEN』も人が集って新たなコトやモノが創造される場所にしたい」などと語った。
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