ニッスイグループの冷食&缶詰・瓶詰担う主要工場 焼きおにぎりなど製造のハチカン

ニッスイグループのハチカンは、青森県八戸市に拠点を構え、冷凍食品と常温食品(缶詰・瓶詰)の両カテゴリーで主要工場の役割を担う。昨年発売35周年を迎えた「大きな大きな焼きおにぎり」、瓶詰の定番商品「焼さけあらほぐし」、新鮮な原料を使った缶詰「さばみそ煮」などを製造。安心と安全を第一に、生産から品質管理に至るまでニッスイブランドの良質なモノ作りを支えている。

ハチカンは04年に地元の八戸缶詰と日本水産(現ニッスイ)が共同出資して設立。08年に新工場が竣工し本格稼働した。グループの生産11拠点(直営工場4、グループ工場7社)の中で最北に位置し、冷凍食品と常温食品の工場を併設する。工場面積は4万895㎡。年間の生産規模(23年度実績)は冷凍食品が105億円、缶詰・瓶詰が55億円、合計160億円。

松島和浩社長(中央)
松島和浩社長(中央)

従業員約670人で多品種少量や高付加価値製品の生産にも対応し、近年は4か国の外国人約120人(ベトナム約80人、モンゴル約20人、フィリピン約10人、インドネシア約10人)も大きな戦力となっている。

08年稼働の冷凍食品工場は日産約80t。8ラインで様々な商品を作り分け、人気の「白身魚とタルタルソースのフライ」、お弁当向けの「いか天ぷら」「コーンクリームコロッケ」、コンビニ向けのドリア・グラタン、業務用のシュウマイなど多品種を計画的に製造する。フードディフェンスも徹底し、安心カメラ100台以上、掌静脈認証などの各システムを導入済み。

冷凍おにぎりは18年竣工の第二工場で日産約20tの能力を有する。「大きな大きな焼きおにぎり」などを八王子総合工場に次ぐ規模で供給し、混ぜ込み型など新設備ならではの付加価値製品にも対応、商品バリエーションの拡充に一役買っている。昨年は「大きな大きな焼きおにぎり」発売35周年記念の季節限定4品の生産を一手に担った。

焼きおにぎりの製造ラインでは、まず使用前の原料米を風力・色彩選別機等で徹底的に異物除去するほか、焼き工程は2段階に分けておいしさにこだわっている。できあがった焼きおにぎりをプラ容器に詰めるのは人海戦術。目視で表面や形状をチェックしながらていねいに行う。箱詰め工程は昨年8月にパレタイザーを導入、省人化を実現した。

缶詰生産ラインは日産約25t。主力のサバ缶を中心に製造。新鮮な原料を使用し、骨まで軟らかくするため長時間の湯せん殺菌を行う。

できたての焼さけを瓶詰
できたての焼さけを瓶詰

瓶詰生産ラインは日産約10t。定番の「焼さけあらほぐし」は、原料の鮭を高温蒸気でゆっくり解凍した後、味付けしながら煮込み、程よく焼き上げる。「とりそぼろ」「たらほぐし」なども製造。

今後に向けて、松島和浩社長は「安心と安全を第一にニッスイの商品を生産し続けることはもちろん、製造現場から新商品・リニューアル品を提案していけるよう取り組みたい」と意欲を示す。

25年度は製品倉庫の出荷作業にパレタイザー数台を新規導入して大幅な省人化を計画する。将来的にはニッスイの一部直営工場で使用する原材料にかかわるAI搭載選別機の導入も視野に入れる。

株式会社アピ 植物性素材