母の作るおにぎりは飾りっ気がなく、古い表現になるがまさに炭団(たどん)のよう。焼きほぐして入れた鮭には小骨がまざり、昔ながらの梅干しは子どもの口には酸っぱすぎる。小学校の遠足で級友の弁当と見比べ、その不格好さに恥ずかしさを覚えた記憶がある。
▼しかしながら昨今の物価高を見るにつけ、ずいぶん贅沢なものを食べさせてもらっていたのだなと思う。海苔、具材、そして米と、おにぎりの構成要素がすべて高騰し最近はコンビニ商品でも「美味しそう」と思うと200円台後半。見た目も艶やかな専門店に至っては400円台はザラで、500円超えも珍しくない。
▼定期的に目にする、サラリーマンのランチ代調査では、いまでも500円前後が相場。これも不思議な話だ。一昔前ならおにぎり、汁物、カップ麺、サラダなどをうまく組み合わせればワンコインでなんとか収まった。いまやどこの国の話?である。
▼近所の桜はすでに満開を過ぎ、今年の花見も不完全燃焼。来年こそは、しっかり準備をして出かけよう。海苔をいっぱいに巻いたおにぎりも作って。
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