サントリー逆転の発想でキャッシュレス対応自販機を急拡大 「自販機にピッ!ですぐ買える」が特徴 初期設定は最短60秒

 サントリーグループで自販機事業を展開するサントリービバレッジソリューション(SBS) は、社員が逆転の発想で開発した自販機キャッシュレスアプリ「ジハンピ」を活用してキャッシュレス対応自販機を急拡大する。

 サントリーの自販機は全約35万台。今年、15万台に「ジハンピ」対応端末を導入して現在約2割のキャッシュレス対応率を6割に引き上げていく。「ジハンピ」対応端末は、既存の自販機にも5分程度の作業時間で設置可能という。

 これまでキャッシュレス対応が進まなかった主要因には、端末設置のイニシャルコストと通信費などのランニングコストが高い点が挙げられる。

 3月27日、発表会に臨んだSBSの森祐二社長は「キャッシュレス対応は、機材費や運用コストの負担が大きく、専門業者による作業も必要となるため、一定以上の売上を有する設置先様にしか対応できていなかった」と振り返る。

 今回、「ジハンピ」の開発により、これらのコストを半減以下に低減。開発にあたっては高機能化しているスマートフォンに着目したという。

左からSBSの森祐二社長と井上尊之マーケティング本部副部長
左からSBSの森祐二社長と井上尊之マーケティング本部副部長

 開発の旗振り役を務めたSBSの井上尊之マーケティング本部副部長は「今までは交通系電子マネーなどカードタイプの端末が主流になっており、自販機の受け側の端末が高機能でなくてはならなかった。高機能=高コストということで、思うように導入できず、そこで着目したのがお客様のスマホ」と語る。

 顧客側の対象端末をカードタイプ(低機能)からスマホ(高機能)に置き換えることで、自販機側の端末の低機能化を実現した。
 「お客様のスマホをしっかり活用すれば自販機側の端末をリーズナブルにできるという、まさに逆転の発想で大きなコストダウンを実現した」と胸を張る。

 「ジハンピ」では余計な機能を削ぎ落し“すぐに買える”を徹底的に追求。自販機の商品ボタンを押して、「ジハンピ」アプリを起動した状態でスマホを自販機側の端末に触れるだけで購入できる。
 「“自販機にピッ!ですぐ買える”が最大の特徴。自販機の前でアプリを操作する必要もない。シンプルでストレスフリーな体験。これこそが自販機」と力を込める。

 初期設定は最短60秒を謳う。名前・年齢・メールアドレスなどの情報登録は不要で、SMS認証、支払い方法連携のみで設定できる。

 各種電子マネーブランドやポイントブランドに対応。アプリを登録すると1本の購入で1ポイントが貯まり、余っているポイントを使って飲み物を購入することもできる。

 現在、ダウンロードで3本無料となる販促を実施してトライアルを促進している。
 「ジハンピ」対応台数は約4万台。7月に阿部サダヲさんと桜田ひよりさんを起用したTVCMを放映するなどして、対応台数を15万台に拡大するとともにダウンロード数を現在の50万から今年中に200万へと引き上げていく。

 メインターゲットは自販機を習慣的に利用するとみられる40‐50代を想定する。