日本アクセスは、大手食品卸の機能をフル活用して冷凍食品市場の活性化にチャレンジしている。全国各地で話題沸騰の消費者向けイベント「チン!するレストラン」の発展的な開催や、オリジナルブランド「Delcy」による圧倒的なコスパの「中華丼」「麻婆丼」の発売など、独自色の強い施策を積極的に展開。フローズン食品MD部の松元雄一部長は「業界を盛り上げたいとの一心で取り組んでいる。メーカー様や小売業様など取引先の課題解決に応えながら需要拡大にも貢献したい」との想いを強調する。(肩書は3月取材時点、以下同)
■「チン!するレストラン」進化中
「チン!するレストラン」はセルフ形式で好みの冷食・アイスが食べ放題のイベント。22年に東京・秋葉原で初開催し、23年に大阪、24年に名古屋で実施。各所で予約があっという間に全席満席になったほか、多くのメディアにも取り上げられ、世間で話題を呼んだことは記憶に新しい。フローズン食品MD部の小川みさと部長代行は「想像以上の反響だった。会場で老若男女が楽しんでいる様子を見て、冷食・アイスのポテンシャルの高さを感じた」と語る。
次回は25年11~12月に北海道・札幌で開催予定。おなじみのNBに加え、北海道産素材にこだわった商品や、事前調理した業務用製品などのアピールを検討中。
一方、「チン!するレストラン」の運営スタイルは業界内外から注目が高まっている。スーパーと共同で昨年9月に富山の「アルビス大島店」で開催し、25年4月は「しずてつストア田町店」(静岡県)で実施する。店内の冷食・アイスが食べ放題のため、様々な商品の魅力を知るキッカケにもなるという。
さらに同モデルはメーカー工場内の社員食堂、異業種のカルチュア・コンビニエンス・クラブらとの連携にも繋がった。「楽しさやおいしさが体験できることはもちろん、セルフ形式の省人化された運営もポイント。オファーがあればビジネスユースの可能性も深掘りしたい」(小川部長代行)。
■コスパ抜群の冷凍丼が登場

4月1日から同社と吉本興業のコラボレーション第1弾商品として、冷凍たこ焼き「吉たこ 塩こんぶ&マヨネーズ風ソース」を発売する。吉本芸人が店頭に立つ店舗「吉たこ」の人気No.1メニューを再現したもので、大手冷食メーカーのテーブルマークと取り組みを深化させる中で商品化にこぎ着けた。
松元部長は「冷凍たこ焼の売れ筋はソース味の大袋だが、話題性のあるフレーバーで個食タイプの需要を喚起したい。NB(テーブルマーク製品)との共同販促を展開し相乗効果も最大限に図っていく」と意気込む。
オリジナルの「Delcy」ブランドでは、ボリューム満点の冷凍丼シリーズ(3月1日発売)が目玉だ。「中華丼」「天津丼」「麻婆丼」の3品。1食350g以上で設計し、ごはんと一緒に最後まで食べられるたっぷりの“あんだく”にもこだわった。参考価格398~448円(税別)と値ごろ感も抜群。小川部長代行は「商品化に際してはメーカーの選定、素材選び、味づくりに至るまで当社スタッフが密に関わった。節約志向もあってワンプレート商材の需要が高まる中、おいしさに妥協せずコスパの高い商品を実現できた」と自信をのぞかせる。
■EC販路開拓をサポート

日本アクセスは、全国3カ所のフローズンマザー物流センターを核に、パレチゼーションの推進など物流課題の解決に取り組んでいる。
フローズン食品MD部は「われわれは取引先の製品が出荷に至る商流まで考えるのが役割」とコメント。その一環でECの販路開拓をサポートするソリューション「スマイルアクセス」を展開する。大手食品卸の機能や自社で運営するECストア「スマイルスプーン」で培ったノウハウを生かし、製品の在庫・出荷管理など必要な業務を請け負うサービスだ。委託した企業は、自社のブランドや商品を全面に押し出したECサイトの運営に専念できる。
「ECの市場は今後ますます拡大していく。メーカー、小売、外食の冷凍食品を新たな販路に乗せることで、市場拡大の一端を担える」(小川部長代行)との考え。
4月1日付でフローズン食品MD部は、フローズン食品MS部に改称し、組織変更する。部長には小川氏が就任。引き続きMD(マーチャンダイジング)機能を担いつつ、マーケティング&ソリューションにも重点を置き、取引先の課題解決や新たな需要創出に注力していく方針だ。あわせて既存の業務用MD部を組み込み、家庭用と業務用がシームレス化するマーケットの変化にも対応する。
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