三井農林は春夏、「日東紅茶 水出しアイスティー」に全力投球する。
水出しアイスティー市場のトップブランドとして市場拡大を牽引するとともに、認知の低い水出しアイスティーを“新たな夏の風物詩”として定着させる。
水出しアイスティー市場は、約200億円と推定される紅茶市場の1割にも満たない規模だが、気温上昇や夏の長期化により近年右肩上がりに拡大。
春夏商材だが、温暖化に伴い販売期間も長期化・通年化の傾向にある。
同社は商品通じて水出しアイスティーの魅力を伝え需要を深耕していく。
水出しアイスティーの魅力について、2月21日の新商品発表会で竹田一也企画本部商品企画・マーケティング部部長は「嗜好品なので好みにはよるが、お湯で淹れたものは良くも悪くも茶葉の渋みや強さがしっかり出る。逆に水出しは低温でゆっくり抽出するため、茶葉の渋みや雑味がほとんど出ず、飲んだ瞬間に鼻から柔らかく非常に爽やかな茶葉の香りが感じられるのが醍醐味」と語る。

「日東紅茶 水出しアイスティー」シリーズでは、冷水500mlにティーバッグ1袋を入れて、冷蔵庫で2時間以上冷やしてからの飲用を推奨している。
500ml換算でみると、市販されるペットボトル(PET)入りアイスティーと比べコスパに優れている点も特徴。
幅広い飲用シーンにも対応する。
企画本部商品企画・マーケティング部商品企画第二室の大洞篤室長は「水出しアイスティーの優位性は、茶葉の種類による楽しみ方にある。コーヒーよりも幅広いシーンに対応でき、食事に合わせることができる」と述べる。
これらの魅力を伝えてカテゴリの認知拡大や市場活性化を図るべく「水出しアイスティー」シリーズを拡充。
2月25日、「アールグレイ」(12袋)「トロピカルフルーツ」(12袋)「はちみつレモン」(10袋)「マスカットグリーンティー」(10袋)の既存品に加えて、「アップルルイボスティー」(10袋)と大容量品「アールグレイ」(20袋)の2品を新発売した。

「アップルルイボスティー」は、PET入りルイボスティー飲料市場の急拡大などを受けて開発された。
商品企画第二室の古谷野綾斗氏はインテージSRI+を引き「嗜好品(ティーバッグ・リーフ)のカテゴリは17年以降、緩やかに成長し近年は比較的安定した実績を残している一方で、RTDカテゴリは21年以降、市場が急上昇し直近3年で3倍以上の販売金額を記録した。RTDはアイス飲用がメインのためルイボスティー市場もアイス飲用の需要が高まってきていると捉えている」と説明する。
ルイボスティーに合わせたアップルフレーバーについては、市場動向と水出し製品購入者に行ったアンケートを加味して選定した。
「口元に近づけていただいた瞬間からアップルの甘くジューシーな香りが感じられ、ルイボスティーならではのすっきりとした後味が特徴。ノンカフェインであることも魅力の一つ」と自信をのぞかせる。
大容量品「アールグレイ」(20袋)は、夏が長期化や水出しアイスティー市場の好調を背景に、店舗でのテスト販売の結果が市場投入を後押した。
店舗では、「アールグレイ」(12袋)を2個パックに加工して販売。6月から7月の検証19日間、中通路エンド棚で2個パック(24袋)を下2段で、通常品(12袋)を上2-3段に陳列して販売したところ、2個パックが30個と最も売れ、次いで通常品が25個売れた。
「アールグレイは当社だけでなく市場でみても水出しアイスティーの売れ筋上位フレーバーのため、まずはアールグレイで検証してみたところ好スコアを記録し、通常品とのカニバリも極小だった」と大洞氏は振り返る。
今回発売する20袋は12袋に比べてユニットプライスは若干低くなる。
テスト販売した2個パックも通常品に比べてユニットプライスを低く設定した。

価格面については「テスト販売では価格に響いたお客様も少なからず存在したと思うが、2個パックを買うのは、安いからというよりも、必要な量が入っているため」との見方を示す。
水出しアイスティー市場に大容量サイズの競合商品が存在していない点でも勝算を見込む。
来上期(3月期)は「日東紅茶 水出しアイスティー」シリーズを重点的にプロモーションしていく。広告の投入やイベントの実施、キャンペーン、店頭販促などを計画する。
インテージSRI+によると、2023年度の水出しアイスティーティーバッグ市場は、20年度比63%増の5億円強。
このうち、「日東紅茶 水出しアイスティー」シリーズは5割弱のトップシェアを握る。
4-8月を中心とする昨シーズンの販売実績は「5%程度のプラスとなった。毎年、結構な勢いで伸びてきており、続伸は限界かと思ったが、まだ伸びている。秋冬の採用も非常に増え、流通さまからは単なる季節品ではないとのご評価をいただいている」(竹田氏)という。
![]() |
![]() |