伸び盛りのジン市場 30年までに1.8倍目指す 世界No.1ブランドにも挑戦 サントリー

洋酒の中でも、近年躍進を続けるのがジンだ。けん引するのはサントリー。大きなポテンシャルが見込まれる市場に、食中需要を開拓する「翠(SUI)」、ものづくりの志を伝える「ROKU〈六〉」の2ブランドで挑む。

ジンソーダ缶を含む国内ジン市場は、同社の推計によれば昨年は251億円。5年間で約3・5倍に拡大した。居酒屋や缶製品など、手軽に飲める接点が増えていることが要因とみる。

「飲用率は若年層ほど高く、20~30代の4人に1人がジンソーダ缶を飲んでいる。ジンの市場規模はグローバルではウイスキーの16%だが、日本ではまだ4%。国内市場は600億円くらいまで成長が見込めると考えている」。

18日の発表会で塚原大輔氏㊥ら
18日の発表会で塚原大輔氏㊥ら

2月18日のジン戦略説明会で、執行役員スピリッツ本部長の塚原大輔氏が語った。30年には現在の1.8倍となる450億円の市場規模を見込み、うち同社製品で8割のシェア獲得を目指す。

主力拠点の大阪工場では、昨年から55億円の設備投資を実施。新たに建設した「スピリッツ・リキュール工房」では浸漬タンクの増設によりジン原料酒の生産能力を倍増させたほか、蒸溜器の更新で品質向上を図った。

今年はさらに10億円を投資し、見学設備を整備。ものづくりの魅力を伝える見学ツアーを来春からスタートさせる計画だ。

12月出荷分からフルリニューアルしたエントリーブランド「翠」は、中味・デザインを刷新。700㎖瓶、「翠ジンソーダ」缶とも、よりすっきりとした飲み飽きない味わいに。22日から放映の新CMでは、新メッセンジャーの杉咲花さんが居酒屋店員役でおいしさをアピールする。

17年発売のプレミアムジン「ROKU」は、世界約60か国で展開。販売数量世界3位(23年)を占めるブランドに成長した。6種の和素材を生かした香味が海外の著名バーテンダーから支持されているといい「世界中でファンを育成し、ゆくゆくは世界No.1を達成したい」(塚原氏)と意気込む。

「ROKU」では今年、日本の四季を楽しむ限定品や万博を記念した限定品を発売予定。初のTVCMを今月から投入するほか、桜の開花イベントでの提供や飲食店向けグラスの展開で体験接点拡大を図る。

株式会社アピ 植物性素材