物が少ない時代から庶民に幸せを与える存在として知られる焼酎割り飲料「ホッピー」が、発売76年を迎えた今年、高級業態の料飲店に初導入された。
12月6日、取材に応じた石渡美奈社長が明らかにした。
採用されたメニューは、村田酒店(福岡県)の粕取焼酎「銀二郎」を「ホッピーブラック」で割る「銀ちゃんホッピー」。
「銀二郎」は乙類焼酎。「銀ちゃんホッピー」は“「ホッピー」は甲類焼酎と合わせるもの”という常識を覆す新たな組み合わせとなる。
これについて石渡社長は「我々はこれまで頑なに『ホッピー』は甲類焼酎にしか合わないと思っていたが、東京でのホッピーをよく知る福岡県の方から“九州の人間には甲類焼酎と合わせた『ホッピー』では物足りない。乙類とも合うと思うとアドバイスをいただいた」と説明する。
乙類焼酎と合わせるには「ホッピー」よりも「ホッピーブラック」のほうが適しており、その際、氷を少し入れるべきといった助言も受ける。
石渡社長は実際に福岡の地を訪れる。
そこでの体験を踏まえて「見事にマリアージュしており、ご当地のお料理にもとても合うと実感した。その後、前述の方を通じて『銀二郎』の紹介を受けました。『銀二郎』は大吟醸酒粕を使用し本当に日本酒のように、とてもふくよかできれいな香りがする反面、焼酎のためキレがよく、これに香ばしい『ホッピーブラック』が見事に合う」と太鼓判を押す。
アルコール度数が20度と低めであるのもウリ。「体への負担が俄然軽い」という。
9月の「赤坂秋まつり2024」に出店して「銀ちゃんホッピー」を販売したところ、売れ行き好調となった。
「これまで境内では『ホッピー』とビールが2巨頭でよく売れ、他の追随を許さなかった。しかし、『銀ちゃんホッピー』は驚くほど人気を集めた。そして新メニューをお客様にお勧めする社員たちが嬉しそうで、新しい提案の大切さも痛感した」との手応えを得る。
この反響が引き金となり、地元・赤坂の高級寿司割烹と同じく銀座の高級和食店のメニューに「銀ちゃんホッピー」が採用される。
「これまで「ホッピー」と縁遠かった高級業態という新しい門戸を開いてくれて、新たなチャンスの芽が見つかった。このことを父(故・石渡光一氏)が聞いたら泣いて喜ぶと思う。父の時代では、高級業態に「ホッピー」が入るというのは夢のような話だった。ため」と語る。
なお、「ホッピー」は低カロリー・低糖質・プリン体ゼロを価値としたアルコール度数約0.8%の麦芽発酵飲料となる。