人類初、「獺祭」の旭酒造が宇宙での日本酒造りに挑む 1本限定1億円で販売

人類初となる宇宙空間での日本酒造りが決定した。挑戦するのは清酒「獺祭」で知られる旭酒造(山口県岩国市)。2025年後半に酒米(山田錦)、麹、酵母と水を打ち上げ、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟内で発酵させ地球に持ち帰る。同品は1本限定の「獺祭MOON―宇宙醸造」(100ml瓶詰)として1億円で販売し、その全額を今後の日本の宇宙開発事業に寄付する。

同社は「将来的には月にあると言われる水を使い、月面で『獺祭』を造りたい。今回はその第一歩。原料となる米はワインのぶどうと比べて軽く輸送しやすい」と意気込む。

「きぼう」日本実験棟内の細胞培養追加実験エリアで月面の重力(地球の約1/6)を再現し、醸造試験を実施するもの。新たに開発する醸造装置を使用し、軌道上では宇宙飛行士が原材料と仕込み水を混ぜ合わせることで発酵がスタート。自動かく拌とアルコール濃度のモニタリングを行いながら、醪(もろみ、約520g)の完成を目指す。

完成後は冷凍状態で地球に持ち帰り、搾って清酒にした後、分析で必要な量を除いて100mlをボトル1本に瓶詰めする。

プロジェクトは三菱重工業と愛知県(あいち産業科学技術総合センター)の協力を得て準備を進めてきた。「きぼう」の活用については、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「きぼう」有償利用制度で24年7月に承認されている。