酒米「白鶴錦」 銀座ビル天空農園で収穫 18回目、来年製品化へ 白鶴酒造

白鶴酒造は、東京・銀座の自社ビル屋上の田んぼ「天空農園」で10月30日に酒米「白鶴錦」の稲刈りを行った。

幸い前日からの降雨も作業開始までにはやみ、社員や関係者ら約30人が参加したほか、「2024 Miss SAKE」グランプリの南侑里さん(大阪・写真右)、ファイナリストの津田朋佳さん(京都・同左)も応援にかけつけた。今後は収穫した酒米で日本酒を仕込み、来年に数量限定品として発売予定。

銀座から日本酒文化を情報発信したいとの想いで07年にプロジェクトを立ち上げた。翌08年に地上約30mの東京支社屋上に田んぼを造成。現在は作付面積約110㎡で酒米50㎏前後(籾付き)を収穫する。一般的な稲作に比べて土の深さに制限があるほか、水温の調整やこまめな水の補充、栄養を行き渡らせる工夫などが求められるという。

18回目の今年は、東京支社営業サポートグループのメンバー(女性7人、男性1人)が日常の業務と並行して運営。5月下旬の田植え後に初期の生育不良が見られ、全7区画中4区画で植え直しするなど悪戦苦闘した。その後は持ち直し、7~8月の猛暑・残暑もあって生育は順調に推移、「何とか良い作柄が期待できる状態に持ってこれた。来シーズンに向けて対策を考えていきたい」(同社)。なお10月30日は生育が十分と判断した4区画を先に稲刈りし、残り3区画は後日に収穫する。

今後は11月13日の穀物検査を経て、日本酒に仕込む予定。昨年産米は「白鶴 翔雲 純米大吟醸 銀座天空農園 白鶴錦」(500㎖瓶、税別1万700円)として40本限定で発売(24年6月)。

「白鶴錦」は同社のオリジナル酒米。07年に品種登録が受理された。「山田錦の兄弟米」という位置付けで、酒質は「山田錦」に比べるとすっきりとした味わいになりやすい。