菓子の保管・輸送に冷房強化の動き 北日本は空調不要は「今は昔」

地球温暖化の影響によりチョコレートやグミなど菓子の保管・輸送で冷房強化の動きが強まっている。菓子において北海道と東北では今夏、この動きが顕著となり空調不要は「今は昔」の状態。冷房を設備しない北海道の倉庫では夏場、チョコレートを入庫できない事態が発生したという。

山星屋の猪忠孝社長は「チョコレートの温度管理は24℃を超えてはいけないため、温暖化が進む北海道の倉庫でも低温庫を設置し、チョコレートなどの低温度帯商品を管理している」と説明する。

配送については、夏場、チョコレートやグミをチルド配送する小売業が増加傾向にあることから「夏場だけチルドセンターへの納品を要請されるところもある」という。

今後については「グミ市場が拡大していることもあり、今後も気温が上がり続けることを考えると温度管理はますます重要になってくる」との見方を示す。

保冷期間の長期化を受けて、配送車を含めて設備投資を考えているのは髙山。

髙山の髙山時光社長は「コストはかかるが、今後の気候変動を考えると温度管理の強化は商売を続けていく前提だと考えている」と述べる。

髙山では従来、主に常温で菓子を扱ってきたが、「近年は常温という概念そのものが少し変わってきた。チョコレートのみならずグミやキャンディも保冷対応の強化が必要で、常温エリアと保冷エリアが共存する倉庫から、全館空調を導入する事例も増えてきている」と述べる。

コンフェックスと、関東・東北を中心に事業展開する関口も設備投資を計画。

コンフェックスの昆靖社長兼グループCEOは「商品と同等に働く人の環境を整備していかなくてはいけない。チョコレートを保管しているところを除いて、自社センターのほとんどで空調が効いていないためだ。長期的にみても気温が下がることはないことから、コスト増にはなるが空調の整備を考えている」と語る。

関口の関口快太郎社長も「今まではお菓子のことだけを考えて冷房を取り入れていたが、今後は働く人のためにも倉庫全館を冷やしていくことを考えていかなければならない」と力を込める。

設備投資については「倉庫は、10℃以下の冷蔵にする必要はなく、冷房を効かせて15~25℃の低温(定温)にしていく必要がある。チョコレートは、すでに倉庫内で保冷庫と呼ばれる専用倉庫をつくり溶けないようにしている」との考えを明らかにする。