紙製飲料容器カートカンの普及を推進する森を育む紙製飲料容器普及協議会は5月10日、定期総会と懇親会を開催し、参集した会員らの間でカートカンの課題が消費者の理解浸透にあることを共有した。
カートカンは、缶の形状をした紙製の飲料容器。ヨーロッパで開発されたシステムを凸版印刷(現・TOPPAN)が高度な技術で改良開発を行い、1996年に初めて日本に導入した。
国産の木材を30%以上使用しているため、カートカンを選択することは、山に資金が還流され、国内の森林整備に必要な費用の一部を消費者が負担することにつながる。
冒頭あいさつした川原浩会長(アサヒグループ食品社長)は「カートカンは国産材、特に間伐材を積極的に活用している。木材を使って森林を育てることを通じて地球温暖化の軽減や抑制に寄与しているものと確信している」と語る。
森を育む紙製飲料容器普及協議会は今年、設立20周年の節目を迎える。
野口晴彦副会長(TOPPAN専務執行役員)は、最初は鳴かず飛ばずの状態だったのが同協議会設立によりカートカンが飛躍的に拡大したことに触れる。
ただし、消費者の理解浸透は今一つであることから「昨年は約170件の普及活動を行い、SNSを活用した新しいPR活動も行っている。今年度も普及活動を積極的に展開していく」と意欲をのぞかせる。
来賓あいさつした農林水産省の横山紳農林水産事務次官は、SDGsが最初に提唱されたのは2015年だったとし、「カートカンの取り組みがいかに先見性のあることかが分かる」と称える。
青山豊久林野庁長官も「森林整備が地球環境問題解決の糸口になる。そのようなことを消費者に訴えかけていくことが必要。カートカンという身近なもので、環境問題を考えるきっかけになるというのは、大変素晴らしい試み」と評する。
来賓らのあいさつを受け、川原会長は「時代が追いついてきたというと大仰だが、時代にマッチする活動になってきている。環境保護や循環型社会などがすべてカートカンの活動に包含されている。カートカンは今まで以上に世の中に認められるべきであり、認められるチャンスがあると考えている」と述べる。
カートカンが森林保護や循環型社会に貢献していることを消費者に知らしめる必要があるとし「当協議会として今後活動を強めていく」と力を込める。