日本ハムが開発した豚のAI発情検知システム「PIG LABO(ピッグラボ)BreedingMaster」が、第24回となる令和5年度「民間部門農林水産研究開発功績者表彰」で、「農林水産・食品産業技術振興協会会長賞」を受賞した。人手による豚の発情確認作業を最大79%削減でき、その労働環境改善などが養豚業の活性化支援につながるとして評価された。
同システムは、母豚から仔豚、出荷までの全ステージの飼育作業をサポートするシステム「PIG LABO」の中で、繁殖を対象とした「発情検知機能」を提供するサービス。熟練の技術と経験を持った飼育員の発情判断ノウハウを基にAIを開発しており、豚舎に設置した専用カメラの画像からAIが自動で豚の行動を分析し、発情しているかどうか(種付け適期)を判断する。
これにより、人による豚の発情確認作業を最大79%削減できるほか、作業者の熟練度にかかわらず、発情判断の技術レベルを安定的に高く維持できる。
同システム開発の背景には、世界人口の増加に伴う食肉需要の増加があり、現在日本国内の豚肉消費は約半分を輸入に頼っており、将来の安定供給面から国内での養豚生産の重要性が増す一方で、畜産農家数の減少や養豚経営形態の変化、熟練した養豚従事者の高齢化に伴う飼育技術の継承問題など、養豚・畜産業を取り巻く環境は厳しくなりつつある。
同社は今後、母豚の繁殖から仔豚の育成・出荷までの全ステージでの飼育作業をサポートするシステムを29年までに実現させ、「養豚・畜産業の活性化と社会・地域課題の解決を目指していく」としている。