コカ・コーラシステムの「コスタコーヒー」は旗艦店がこのほど開業したことで新局面を迎える。
「コスタコーヒー」は1971年にロンドンで誕生したプレミアムコーヒーブランド。バリスタがその時の湿度などを把握しセルフのエスプレッソマシンを微調整して淹れる本格カフェが事業の起点となっている。
ザ コカ・コーラカンパニーが19年に「コスタコーヒー」を買収し、日本では2020年からブランドポートフォリオに加えている。
20年に開始した業務用卓上マシン(Proud to Serve=PTS)は現在、全国1200ヵ所以上の外食店などに採用されている。
業務用では「Express(エクスプレス)」と称するバリスタ監修の本格マシンによる無人カフェも展開している。
21年4月にはペットボトル(PET)コーヒーの販売を開始した。飲料はその後、缶商品も加えるなど品揃えを拡充している。
小売商品は現在、飲料から領域を広げレギュラーコーヒー・リキッドコーヒー・濃縮コーヒーの家庭用嗜好品も展開している。
10月6日、「コスタコーヒー」の旗艦店「コスタコーヒー CURE銀座店」がオープンしたことで、業務用(PTS・Express)・消費財(飲料・家庭用嗜好品)にカフェスタイル(リテール店舗)が加わり、日本における「コスタコーヒー」のマルチプラットフォームが整備されたことになる。
今後は“最も愛されるマスプレミアムのトータルコーヒーブランド”を志向して業務用・消費財・カフェの連携を強めていく。
オープンに先立ち3日、旗艦店で発表した日本コカ・コーラの金澤博史副社長トータルコーヒーエンタープライズリテールディレクターは「『コスタコーヒー』最新のブランドコンセプト“アップリフト(気持ちを高めさせる)”を全てのプラットフォームで展開する。これによりブランド体験を幅広く提供し『コスタコーヒー』を真のカフェブランドとして新たなステージに進化させる」と意欲をのぞかせる。
旗艦店は進化への重要拠点と位置付けられる。
リテール店舗の運営を手掛けるのは双日ロイヤルカフェ(SRC)。
SRCは、コカ・コーラグループのコスタインターナショナルリミテッドからコーヒーカフェブランド「コスタコーヒー」の日本市場における店舗開発・運営の独占的フランチャイズ権を取得して、昨年、カフェ事業に参入した。
今年8月に第1号店の「コスタコーヒー CIRCLES渋谷店」、9月に第2号店の「コスタコーヒー OOTEMORI店」とテイクアウトをメインとした店舗を順次オープンし、旗艦店は初のイートインスタイルのカフェとなる。
SRCの西尾真理子社長は「年内には福岡空港国際線旅客ターミナルビルに初のフランチャイズ店がオープンする。今後は都内でも店舗展開をスピーディーに進めながら来春までには二桁出店できるように頑張っていきたい」と意気込みをみせる。
SRCは双日とロイヤルホールディングスの合弁事業会社で、22年1月、カフェ事業の運営と展開を目的に設立された。出資比率は双日60%、ロイヤルホールディングス40%。
双日の村井宏人常務執行役員リテール・コンシューマーサービス本部長は「我々がBtoCで強みを発揮できる分野は限定的であり、リテール店舗を展開していく上でリテールブランディング・リテールマーケティングに強みを持つコカ・コーラ様とのパートナーシップが不可欠」と語る。
リテール店舗の運営にあたっては、ロイヤルホールディングスの強みとする接客力を取り入れている。旗艦店ではフードメニューも充実し、コーヒーはバリスタがセルフのエスプレッソマシンで淹れている。
なお3日の発表会にはCosta Coffeeのフィリープ・シャイエCEOも登壇。世界で最も愛されるコーヒーブランドを目指しているなど「コスタコーヒー」創業時からの変わらぬ想いを伝えた。