スティックコーヒーをはじめとするスティックタイプの嗜好飲料では、夏場の提案としてアイスミルクに商機を見出している。
春夏に開拓余地を見込む。
アイスコーヒーなどアイス飲料が飲まれる割合は年々増加傾向にある一方、スティックのアイス飲用比率は全体の1割に留まっているとみられる(味の素AGF調べ)。
スティックでトップシェアを握る味の素AGFは、止渇性ではなく嗜好性の要素を強めて提案強化している。
前身の「冷たい牛乳で飲む」シリーズにさらに磨きをかけて、スティック1本に牛乳を注いで混ぜるだけでクリーミーなデザート飲料が楽しめる 「ブレンディ」スティック クリーミーアイスシリーズ(以下、クリーミーアイス)を3月1日に新発売した。
前身商品では、春夏の飲用に向けて清涼感の要素を盛り込んでいたが、「クリーミーアイス」では清涼感の要素よりも、中身・パッケージともに嗜好性への訴求にフォーカスしたものになっている。
この刷新の決定打になったのは、事前に実施した消費者調査から浮かび上がった“クリーミー”のワードという。
「トライアルされた方は “クリーミー”のワードから想像される味わいや情緒感に惹かれて購入されていることが分かった。このワードは通常「ブレンディ」スティックを飲用するユーザーにも刺さっており、通常商品とは違って春夏のスイーツ感覚で飲まれ、秋冬に再び通常商品に戻っていく傾向が見て取れた」(味の素AGF)と説明する。
このような見立てから、シリーズ名にも“クリーミー”のワードを盛り込むなどして嗜好性を前面に押し出してリニューアルを行い、さらなる成長を目指していく。
今回の「クリーミーアイス」は前身商品と比べクリーミングパウダーを改良し、溶けやすさとともに牛乳と混ぜたときのコクを強化した。
「クリーミングパウダーの主成分は油のため通常であれば冷たい飲み物には全く溶けず分離してしまうが、それを溶かす技術を常に磨き続けている」と述べる。
ボトルコーヒーでトップシェアを握るネスレ日本は、「ボトルコーヒーに限らず年々アイス飲用が増えていく」との見方を示しスティックのアプローチも強める。
ネスレ調べによると、コーヒーカテゴリー全体におけるアイスの飲用比率は、2011年の33%から21年に37%へと引き上げられ、また、22年春夏(6‐8月)のスティック市場とポーション市場あわせた販売金額は18年同期比で1.3倍に拡大した。
今後も拡大を見込み、中でも若年層の獲得に勝算を見込む。
「若年層がコンビニやカフェのアイスコーヒーで入ってきて最終的に家庭でも飲んでいただけるといった流れが、ブームではなく、以前から続いておりそのような流れは年々加速している」(ネスレ日本)と期待を寄せる。
この春夏は、さらなる若年層の獲得などを目指してスティックでは「ネスカフェ ゴールドブレンド 大人のご褒美」シリーズから「ネスレ 大人のご褒美 ダルゴナストロベリー」を3月1日に新発売した。
同商品は「甘酸っぱいストロベリーの香りやスッキリした味わいが楽しめる一方、ふわふわで、もっちりとしたピンク色の泡も体験できる」のが特長。
ストロベリーフレーバーの選定については、カフェやアフタヌーンティーの期間限定メニューとして若い世代を中心に人気を集めている点が加味されている。
ココアカテゴリーでは片岡物産が従来からスティックタイプの「バンホーテン ミルクココア」で“水や牛乳にも溶ける”ことを訴求している。
これに加えて今年は「バンホーテン」の旗艦商品「ミルクココア」(220g)を冷たい水や牛乳にも溶けるように改良。スティックタイプとともに、春夏のアイス飲用需要をこれまで以上に獲得してブランドと生活者との接点拡大を図っていく。