食肉卸大手のスターゼンと、鹿児島県で和牛生産を行う水迫畜産グループは、このほど業務提携10周年を迎えた。
両社は11月21日に会見を実施。スターゼンの横田和彦社長は「水迫さんとは、個人的には06年に量販事業部にいた頃からお付き合いがあった。生産者がよく見える農産物の確保へ、川上の囲い込みを業界が進めている時期だった。もっと長いスパンで取り組もうということで昔からの関係もあって提携する運びとなり、あっという間の10年だった」と振り返った。
和牛のおいしさを次世代につなぐため、持続可能な肥育方法の確立を目指す水迫畜産。「牛に優しく」「人に優しく」「環境に優しい」を今後の取り組みテーマに掲げる。
肉が真っ白くなるほどのサシの多さを競う霜降り肉ではなく、健康的に育ち適度なサシの入った牛肉の生産を目指しているのが同社の特徴だ。
「なぜ霜降りの肉を目指さないかといえば、牛の命をいただくうえで、真っ白い肉が良い肉だとは思っていないから」と語る、水迫畜産の水迫栄治社長。
「提携当時は農業の6次産業化が盛んに言われていた時期だったが、6次化をうち単体でやるのは難しかった」と提携に至った背景を説明したうえで、「提携のプラス面は多々あり、情報共有によって年間の出荷計画を安定的に立てることが可能に。社員同士でも深い信頼関係を築けたことで、互いに信頼して本音で言えるようになった。この節目に、さらに今後の10年を見据えて関係強化を図りたい」と展望を語った。