東洋製罐グループホールディングス(GHD)は7日、原材料・エネルギー価格の高騰で上期(3月期)375億円のコストアップとなり、それを思うように飲料メーカーなどへ価格転嫁できない実情を明らかにした。
上期は、行動規制が緩和されて天候に比較恵まれたことで飲料容器などの販売量がコロナ以前の状況まで持ち直したものの、原材料・エネルギー価格の高騰に加えて急激な為替変動で前年に比べて大幅な減益となった。
上期連結業績は売上高が10.1%増の4508億円、営業利益が73%減の70億円。
この日、決算発表に臨んだ大塚一男社長は「今後、さらなる原材料・エネルギー価格の高騰が想定され、通期の環境は引き続き厳しい」との見方を示し、価格転嫁を経営課題に掲げる。
価格転嫁が思うように進まない理由については、これまで年1回の価格交渉を慣例としてきたことを挙げる。
これにより上期は、毎月のように原材料・エネルギー価格が高騰して円安も進行する環境が利益を圧迫。メーカーと契約変更の交渉に臨むも、上期は大半の飲料やビールの流通での末端価格が据え置かれていることもあり交渉は難航。
ただし、この状況は今期終盤から来期に向けて改善される見通し。
10月1日からの飲料900品目以上の末端価格の値上げが順調に進捗していることに加えて、アルミなどでは原材料価格の変動を容器価格に転嫁する市場連動制への移行を推進していくことで改善を見込む。
「飲料メーカーさまの期初が1月で当社の期初が4月とズレてることから、当社としては1月の4Qから新たな契約となる。今期は4Qのみしか寄与できず厳しいが、来期以降は収益が改善できると考えている」と述べる。
上期は、鋼板関連事業が牽引して163億円を価格転嫁。
上期営業利益の増減要因としては、163億円の売価転嫁ほか、販売数量増加による限界利益の増加やコスト削減努力を、375億円のコストアップが全て打ち消した。
375億円の内訳はスチール55億円、アルミ100億円、プラスチック樹脂105億円、エネルギー70億円など。
通期は、スチール110億円、アルミ145億円、プラスチック樹脂185億円、エネルギー全体170億円、紙・ガラス・副資材130億円のトータル740億円のコストアップを想定。
一方、価格転嫁は通期で400億円を見込む。転嫁率は54%で、特にPET樹脂で難航し包装容器全体の転嫁率は40%程度に留まる見通し。