ビール類 9月出荷は1.5倍 駆け込み需要で2割上乗せ

 今月1日からの一斉値上げで注目されていた、ビール類(発泡酒、新ジャンル含む)の駆け込み購入による仮需の規模が明らかになった。大手4社合わせた9月の出荷数量は、前年同月比約150%。仮需により全体の約2割が上乗せになったものと推定される。

 9月の各社実績は別表の通り。ビールを中心に大きく伸び、合計出荷数量は推計約3千900万ケースとなった。21年11月以来、10か月ぶりにビール・発泡酒・新ジャンルの全カテゴリーで前年を超えた。前月の市場が前年同月比118%だったことから、本紙の試算では全体の2割強にあたる約835万ケースが仮需による増加分と考えられる。

 飲食店でのアルコール提供制限が解除されたことによる業務用の回復も加わり、9月の単月実績としては過去10年で最大を記録。コロナ前の19年9月と比較しても約1割の増加となった。

各社の9月度ビール類販売実績 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
各社の9月度ビール類販売実績

 14年ぶりに実施されたビール類の値上げ。前回の08年は9月に起こるリーマンショック直前にかけて価格改定が順次行われたが、上げ幅は3~5%程度。店頭価格が軒並み6~10%の大幅上昇となった今回に比べて、低く抑えられていた。このときは春から秋口にかけて各社で値上げ時期がまちまちとなり、仮需も分散されたとみられる。

 また19年10月の消費税増税、20年10月の酒税率改正時にもビール類の仮需が発生したものの、値上げカテゴリーの出荷はいずれも1~2割の増加にとどまった。ただ酒税が引き上げられた新ジャンルはその後に低迷期に入るなど、店頭価格の上昇は消費に如実に影響を及ぼした。今月に入ってからの実需がどの程度の規模になるかに、注目ポイントが移る。