キリン「プラズマ乳酸菌」製造能力増強 27年に国内外で菌体販売35億円と最終商品価格500億円相当の市場創造を計画

 キリンホールディングスは5日、「プラズマ乳酸菌」関連事業が1-8月約5割増と好調に推移していることと今後の市場拡大を見込み、バイオタンクや遠心分離機などの菌体製造設備を増設して菌体の年間製造能力を現在の約2倍となる28tに引き上げる方針を明らかにした。

 これにより世界を見据えて「プラズマ乳酸菌」による免疫ケアを広めていく。

 5日発表したキリンホールディングスの南方健志取締役常務執行役員ヘルスサイエンス戦略担当は「2027年には国内外での『プラズマ乳酸菌』の菌体販売額で35億円、最終商品価格で500億円相当の市場創造を目指す」と意欲をのぞかせる。

 この目標達成には、さらなる設備投資を必要とし、海外に初の製造拠点を設けるといったことを検討していく。
 「プラズマ乳酸菌」認知拡大や消費者との接点拡大に向けては、外部パートナー企業との連携を強化。今秋には「プラズマ乳酸菌」を配合した免疫機能の機能性表示食品のアイテム数を現在の2.2倍となる38商品へと拡大する。

 外部パートナー企業は、カンロ・森永製菓・日本薬健・オリヒロプランデュの4社に加えて、新たに大正製薬と常盤薬品工業の製薬会社2社との連携を開始する。

 予定される38商品の内訳は、キリングループ27商品・外部パートナー企業6社11商品となる。

 今後は日本コカ・コーラにも提供するとともに、非・機能性表示食品ではペットの食品・用品を製造・販売するペティオとも連携しペットの健康ケアにも取り組む。

 海外市場も開拓する。
 東南アジアでは信仰上の理由で提供できなかったエリアにハラル適応の菌体販売を開始。「まずは23年にインドネシアで開始し将来的には東南アジア5カ国での展開を予定している」。

 既に展開している米国と欧州では取り組みを加速。「欧州ではパートナー企業が決定し、この秋から『プラズマ乳酸菌』配合商品が展開される」見通しとなっている。

 免疫ケアの必要性を啓発するにあたっては社会課題に重きを置いた施策を実行していく。
 タモリさんと天海祐希さんを起用し免疫ケアを訴求する新TVCMを放映するほか、新たな取り組みとして、国内で複数の観光団体と連携して旅行シーンでの免疫ケアを推奨していく。

 永井勝也ヘルスサイエンス事業本部ヘルスサイエンス事業部主幹は「中長期的な取り組みとしては小学生を対象とした学校での免疫授業を積極的に推進していく」と語る。

 免疫の“実感しにくい”という課題に対しては中長期的なスパンで取り組む。
 「将来的には免疫ケアを維持できるということを見えるような状態にする技術開発についても社内では検討している。実感でき、続ける理由をつくっていく取り組みは課題意識を持って中長期的な取り組みとして準備を進めている」と述べる。

 なお『プラズマ乳酸菌』の菌体販売額は非開示としている。