コカ・コーラシステムが小売店・外食・オフィス・自販機などに向けて展開している「コスタコーヒー」の認知が2020年後半から2年足らずで急速に拡大している。
その牽引役は21年4月に販売開始したペットボトル(PET)コーヒー。
これについて、日本コカ・コーラの金澤博史コスタディビジョンゼネラルマネジャーは「我々が飲んでいただきたいと思っている主な消費者の70%くらいまで認知がとれている。全人口だと認知率は60%に上る」と語る。
「コスタコーヒー」は1971年にロンドンで誕生したプレミアムコーヒーブランドで、バリスタがその時の湿度などを把握しセルフのエスプレッソマシンを微調整して淹れる本格カフェが事業の起点。
ザ コカ・コーラカンパニーが19年に「コスタコーヒー」を買収し、日本では20年からブランドポートフォリオに加えている。
本格カフェを起点に攻める価格帯は、ハイプレミアムではなく、手が届きそうなプレミアムを意味する“マスプレミアム”のポジション。
「コロナ禍で旅行や外食を控えるようになり、プチ贅沢がかなり浸透してきている。コンビニスイーツの単価も高くなってきているが伸びている」との見方を示す。
PETコーヒーは市場平均価格に対して約20%高い価格で販売。業務用もマスプレミアムのポジションを堅持しながら展開している。
業務用は、外食やオフィスなどを対象に、全自動コーヒーマシンの設置ともにコーヒー豆を販売。
現在、家庭外のシーンで淹れたての「コスタコーヒー」を提供する“ショップ・イン・ショップ”の導入店舗は映画館やシェアオフィスなどを含めて約1000ヵ所に上り、ブランド認知も“高品質コーヒーブランド”として広がりをみせている。
「『コスタコーヒー』では高い単価で提供し、かつ杯数も増えて売上高とマージンも高くなるというウィンウィンのお取引をさせていただいている」という。
短期間で約1000ヵ所に導入した原動力としては、コカ・コーラボトラー各社が長年培ってきたホレカ(ホテル・レストラン・カフェ)やオフィスなどの販売網を挙げる。
これら販売網での1日当たりの飲用杯数(カップ・パー・デイ)は、18都道府県に適用していた「まん延防止等重点措置」が3月21日に解除されたことで急回復している。
PETコーヒーも導入が拡大している。
「今年の上半期(12月期)はスーパー業態で約60%という高い配荷になりお客様との接点を増やすことができ認知向上とトライアル獲得につながった。自販機は全台数の約20%に装填され、コカ・コーラ公式アプリ『Coke ON』も活用されている」。
コンビニに向けては、9月5日に新発売した「キャラメルラテ」や今後予定しているマーケティング活動を訴求して導入拡大に取り組んでいる。
今年は認知拡大に向けて、PETコーヒーでオフライン・オンラインの両方でサンプリングを実施。オフラインでは沖縄を皮切りに各主要都市で計4万本を配布。オンラインデジタルサンプリングをあわせて5-9月に計15万本を配布した。
今後は「様々なところで『コスタコーヒー』を楽しんでいただくプラットフォームを構築していきたい」考えのもと、商品ラインアップの拡充を図りながらショップ・イン・ショップの業務用とPETコーヒーの2つの柱を強化していく。
加えて、現在、東京・原宿のみで運営しているコスタリテールカフェも広げていく模様。
「業務用は全自動マシンだが、コスタリテールカフェではセルフのエスプレッソマシンでコーヒーを入れている。実店舗でのカフェ体験を日本の消費者にも経験していただくべく、いろいろ準備をしており、これが実現すると戦略全体がコンプリートする」と語る。