東海エリアの食品スーパーでは、消費者へ商品を届けるラストワンマイルが急速に進化している。マックスバリュ東海では、フードデリバリープラットフォーム「ウーバーイーツ」を利用する店舗が7月までに名古屋市で18店舗に拡大。スーパーマーケットバローを展開するバローホールディングスでは、アマゾンと「バローネットスーパー」を共同展開し、7月27日から配達エリアが12市2町に拡大した。コロナ禍の反動で来店客の減少など警戒感が広がる食品スーパーでは、リアル店舗と並行してサイバー空間での顧客争奪戦が繰り広げられている。
マックスバリュ東海では20年9月に「御器所店」でウーバーイーツのプラットフォームを使用したサービスをスタート。その後、同年11月には「一社店」、21年8月に静岡県の「浜松常盤町店」などに拡大した。弁当・惣菜をはじめ生鮮食品、日用雑貨、ペットフードなど2千種類を取り扱い、注文から平均30分程度で配達される。
買い忘れた商品の購入などのほか、これまで同社の店舗を使用していなかった客層が通常の買い物をウーバーイーツでしているとみられ、新規顧客の獲得にもつながっている。
バローホールディングスでは21年3月、アマゾンと共同で、アマゾンプライム会員向けのサービスとして「バローネットスーパー」を開始。スーパーマーケットバローで取り扱う生鮮食品、惣菜、PB商品など約8千種類を注文から最短2時間で配送する。
配送エリアは名古屋市をはじめ、新しく尾張旭市、瀬戸市、長久手市、日進市、東郷町が加わり、12市2町に広がっている。
イオンリテール東海カンパニーでは、「お届け先変更便」「先取り配送便」などを導入しサービスの向上を図っている。
「お届け先変更便」は注文者と別の配送エリアで暮らす家族などに商品を送ることができるサービスで、買い物しにくい地域に住む両親に代わって商品の注文や、病気やケガなどで買い物に行けない家族などに代わって商品を注文することができる。
また、「先取り配送便」は配達依頼の多い時間帯の配送便をあらかじめ予約することで希望の時間帯に受け取れる。これまで注文の2日後まで配送の日時指定ができたが、新機能では最長10日まで配送便が予約できる。受け取りのできる日時があらかじめ決まっている人は前もって予約し、その後、ゆっくりと商品を注文することができる。
ネットスーパー事業は、コロナ禍の外出自粛などで大きく成長した。イオングループでは21年度、売上規模750億円、19年比35.1%増。バローホールディングスでは20年度のEC売上高が51億円。23年度は100億円、29年度には500億円をそれぞれ目標に掲げている。
今後も売上拡大に向けて、サービスの向上や新サービスの導入が進んでいくとみられる。