リーフ茶離れに苦しむ国内製茶メーカーが、自社製品にお得感を出そうと懸命だ。巣ごもり消費からの反動減に加え、先行きが見えない物価高が押し寄せ、価格と内容のバランスに神経をとがらせる愛飲家は少なくない。各社は値ごろ感や容量に工夫を凝らし、量販店やスーパーでの販路拡大を目指している。
7月8日に静岡県浜松市で開催されたメイカングループの夏季展示会。「少しでもコストパフォーマンスのある商品を提供できるかが勝負だ」。出展した赤堀商店(静岡県)の役員はこう言い切る。
訴求に力を入れていたのは茶葉を多く使用した「大きめティーバッグ」。ティーバッグ製品は、1個当たり茶葉3g入りが標準的だが、同社では7gと2倍以上を使用。茶葉が広がって味わいや水色が深くなるため、「ティーバッグを何個も使用する必要がなく、結果として経済的」とお得感を強調する。
また、掛川産一番茶の商品も160gで800円と手が届きやすい価格帯に設定。有機栽培の棒茶も、150gで350円と価格帯を抑えている。単なる安値競争とは一線を画し、新茶や有機といった付加価値のある商品に値ごろ感を持たせ、消費者にアピールする戦略だ。
井指製茶(愛知県)は、緑茶などでティーバッグ600g入りの「メガ盛」を新たに大容量商品として投入した。千円を超える価格設定だが、水出しも兼用できる商品だけに、夏場に大量消費されると想定。1g当たりで従来品と比べ20%お得な商品に仕上げた。
夏の麦茶の販促も強化している同社は「急須を持たない世帯が増えている中、自宅でお茶を作って味わってもらうことが大切」としてリーフ茶の需要喚起に努めている。