進化する飲料容器 ラベルレスボトルやリターナブル瓶などで新たな切り口 環境負荷低減の取り組み強化が背景

 飲料容器が進化を遂げている。

 各メーカーが環境負荷低減の取り組みを強化していることが背景。

 中でもペットボトルのラベルレス商品(ラベルレスボトル)は規制緩和と各社の創意工夫によってコンビニやスーパーで単品販売できるようになり、じわりと広がりをみせている。

 今後、ラベルレスボトルのさらなる拡大に向けて懸念されるのが、ブランドが伝わりにくくなる点。

 店頭は、ECやケース買いで自宅に置かれるのとは異なり、ブランドと消費者の重要な接点であり、ブランドを表象するラベルの果たす役割は大きい。

 このことを意識したと思えるのが、サントリー食品インターナショナルが7月5日から全国のコンビニで数量限定発売している「サントリー天然水 ラベルレス」。

首掛けの折り曲げられた内側部分にJANコードや必要表示内容が畳み込まれている。 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
首掛けの折り曲げられた内側部分にJANコードや必要表示内容が畳み込まれている。

 同商品は、サントリー初の試みとして開発したラベルレス専用ボトルで「空気まで冷たく澄んだ水源から提供される“清冽なおいしさ”という『サントリー天然水』の価値が瞬時に伝わるように開発した」(サントリー)もの。

 原材料名などの必要表示内容はキャップと首掛け、段ボールに記載。

 首掛けのデザインにも工夫を施し、2つの表側にはブランドロゴのみをあしらい、折り曲げられた内側部分にJANコードや必要表示内容が畳み込まれている。

 現時点ではオンライン限定でのケース販売となるが、「コカ・コーラ」からも意匠性の高いボトルが登場。

「コカ・コーラ」の新ラベルレスボトル(350ml) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「コカ・コーラ」の新ラベルレスボトル(350ml)

 コカ・コーラシステムは4月25日、「コカ・コーラ」と「コカ・コーラ ゼロシュガー」の新ラベルレスボトル(350ml)をオンライン限定で発売開始した。

 この新ラベルレスボトルは「コカ・コーラ」ブランドを象徴する胴部がくびれたコンツアーボトルにサスティナビリティーの要素を追加したもので、こちらもブランドの伝達を意識して開発されたと思われる。

 ラベル縮小化のトレンドを受けて、同じくコカ・コーラシステムが開発したのが平たくたためる新ボトルの「い・ろ・は・す 天然水」(540ml)で6月20日に北海道で先行発売された。

 この新ボトルは、水のおいしさと環境への配慮を感じてもらえるラベルレスボトルのデザインを取り入れたものでラベルを下部に配置し洗練感を打ち出している。

左から全国販売されている現行の「い・ろ・は・す 天然水」(555ml)のボトルと6月20日に北海道で先行発売された新 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
左から全国販売されている現行の「い・ろ・は・す 天然水」(555ml)のボトルと6月20日に北海道で先行発売された新

 循環型ショッピングプラットフォームのLoopを利用してリターナブル瓶に挑むのは大塚製薬の「ポカリスエット」。

 大塚グループ全体の循環型社会の実現に向けた取り組みの一環で、このほど再利用モデルに適した強度と「ポカリスエット」の品質基準をクリアする容器を開発したことで販売に至った。

 ロゴなどのデザインは瓶に直接印刷してラベルレスとし、キャップは王冠を使用。栓抜きを使って開けられるようになっている。

 7月12日にイオンとイオンスタイルで販売開始され、多くのメディアやSNSに取り上げられるなど話題化に成功している。

「ポカリスエット リターナブル瓶250ml」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ポカリスエット リターナブル瓶250ml」