店舗間共配や車両シェア推進 物流の課題解決へ「フィジカルインターネット」構築目指す

製・配・販連携協議会の総会・フォーラムが8日、東京・明治記念館で開かれた。協議会加盟のメーカー、中間流通・卸、小売の製配販3層トップが多数参加。2024年問題が目前に迫る物流課題の解決やサプライチェーンの最適化に向けて協議会の活動方針を確認するとともに、「フィジカルインターネット実現に向けたスーパーマーケット等アクションプラン賛同宣言」を採択した。

製・配・販連携協議会は11年5月に発足。消費財分野の流通における3層が連携し、サプライチェーン全体のムダをなくし、新たな価値を創造する仕組みを構築し、国民生活に貢献することを目標に活動を続けてきた。21年度の加盟企業はメーカー22社、卸売業9社、小売業19社の計50社。

協議会では返品削減や配送最適化、情報共有の推進に加え、近年では物流問題や働き方改革への対応、CO2削減など環境対応など、商慣習の見直しも含めたデジタルトランスフォーメーションによるサプライチェーンの最適化が重要課題となっている。

21年度はこれまでの活動を踏まえ、物流を中心とするロジスティクス最適化WG、スマート物流構築準備会、リテールテクノロジー勉強会での取り組みを推進してきた。今年3月には経産省・国交省のフィジカルインターネット実現会議スーパーマーケットなどWGにおいて、フィジカル・インターネット実現に向けたアクションプランが策定された。

フィジカルインターネットとは、徹底的な標準化とテクノロジーを活用し共同輸配送や共同拠点利用により、調達・生産・物流・販売のサプライチェーン全体最適化を目指すもの。2030年のあるべき姿として、メーカー・卸、卸・小売店、小売店舗間の共同配送や帰り便の有効活用による車両相互活用が進んでいる状態を目指し、40%程度に留まっているトラック積載効率を70%に高めていく。

製・配・販連携協議会では22年度の活動方針として、アクションプランの実行に向けた具体的な協議・検討を進めていくことを確認。製・配・販45社を代表してイトーヨーカ堂の三枝富博会長が「物流危機を回避して、消費者のもとに必要なモノが適切に届く物流を維持するために製配販連携企業および加盟企業が連携して、アクションプランを推進し、わが国の流通構造改革を全力でリードしていく」と賛同宣言を行った。

これに基づき、22年度の協議会活動では、「商流・物流におけるコード体系標準化」「物流資材の標準化および運用検討」「取引透明化に向けた商慣習の見直し」「データ共有の際のルール化」について新たに4つのWGを設置し、具体的な検討を進める。

商流・物流におけるコード体系標準化では、商品マスタ・事業所マスタの業界標準化に向けた議論検討を推進。取引透明化に向けた商慣習検討WGでは、現状の店着価格制のような共同輸配送・共同拠点利用のネックとなる商慣習の整理・検討を進める。

なお、21年度の返品実態調査による加工食品の返品率は、卸→メーカーが0.31%(前年比0.8ポイント改善)、小売→卸が0.12%(同0.1ポイント改善)で、いずれも前年に比べて改善。卸→メーカー間の返品額(推計)は21年度421億円で、前年より約100億円改善。調査を開始した13年度(882億円)から返品額は半減している。