緑茶飲料市場で“濃い”を訴求するカテキンリッチな濃い系商品が拡大している。
健康志向の高まりが背景。
緑茶に含まれるガレート型カテキン(EGCG)には、無症状で生活習慣病や老化の加速を引き起こし“万病のもと”とされる慢性炎症の抑制に有効といった研究発表がなされている。
濃い系の最右翼となるのが伊藤園の「お~いお茶 濃い茶」(以下、濃い茶)で、直近の6月末時点で販売数量34ヶ月連続伸長を記録した。
同商品は、緑茶の主要成分であるカテキンがインフルエンザ対策としてテレビ番組に取り上げられたことを契機に18年末頃から上昇基調にあり、これに拍車をかけたのが機能性表示食品としての打ち出しであった。
19年にガレート型カテキンの働きで体脂肪を減らす機能があることが報告されている機能性表示食品へと刷新して以降、勢いを加速。新規ユーザーを獲得しながら毎月前年を上回って推移している。
伊藤園の安田哲也緑茶ブランドグループマネジャーは「もともとのメインユーザーは40、50代男性だが、特に昨年は30代以下の男性と全世代の女性層が増えて『濃い茶』の成長を牽引した」と語る。
新規ユーザーの中でもリピートの傾向が見られ、その一番の要因に、渋みとともに感じられる「おいしさ」が挙げる。
「伸びている一番の理由はおいしさにある。ガレート型カテキンを多く含み、“せっかく飲むのであればカラダによいもの”というニーズに対応しており、飲み終わったあとに苦みが口に残りすぎると恐らく続かない」との見方を示す。
現在、この「濃い茶」とともに売場を賑わしているのがサントリー食品インターナショナルの「伊右衛門 濃い味」(以下、濃い味)。
「濃い茶」と「濃い味」は、商品名もさることながら昨年からパッケージが似すぎていると波紋が広がっており、今年2月に「濃い味」が茶カテキンの力で内臓脂肪を減らす機能性表示食品としてリニューアル発売されたことで、その度合いが高まっているように思える。
「濃い味」は機能性表示食品としてリニューアル発売したところ「スーパーで配荷が拡大し5月現在までで前年比2.5倍以上で推移している」とサントリーの多田誠司SBFジャパンブランド開発事業部部長は振り返る。
「濃い味」は緑茶飲料市場の昨今のトレンドにも合致。
「『伊右衛門』を含め主要ブランドのレギュラー品が濃い系にシフトしている。濃い系が伸びている背景としては、健康だけで支持されているのではなく、通常のお茶に健康の価値がついている点にある」とみている。
コカ・コーラシステムも「綾鷹」の濃い系商品として「濃い緑茶」を展開している。
コロナ禍の健康志向の高まりを受け21年にガレート型カテキンの量を2倍にするなどして刷新。今年は、その他の「綾鷹」基幹商品とともに新デザインのパッケージを導入して磨きをかけている。