腸活をうたったココアとコーヒーが量販店などのバイヤーから注目を集め、ブレイクの兆しをみせている。
腸内環境を改善させる腸活は、免疫力向上、便秘解消、ダイエット、美肌などさまざまな効果が期待できるとあって腸活を打ち出した食品や健康食品が売場を賑わしているが、おいしさを犠牲にしたり難しいといったイメージからトライアルされにくく認知にとどまっている側面もある。
コロナ禍で腸活に寄せられる関心が一層高まる中、おいしさとの両立を図った嗜好品に注目が集まる。その一つが、片岡物産が昨秋新発売した「バンホーテンの腸活ココア」となる。
同商品は、水溶性食物繊維イヌリンと「バンホーテン」の「ピュア ココア」を配合した本格ココアの機能性表示食品。1杯20gで食物繊維7.7g、カカオポリフェノール340㎎をおいしく摂取できるように仕立てられている。使用している原材料は「ピュア ココア」、砂糖、イヌリンのみ。
イヌリンは、ゴボウやタマネギなどに含まれる水溶性食物繊維の一種で、胃腸では消化されずそのまま大腸まで到達し、100%腸内細菌の栄養となり腸内細菌の活性化に役立つとされる。
ココアがそもそも持つおいしさをベースにした健康価値にイヌリンや「お腹の調子を整える」機能がうまく合致して販売は好調に推移している。
「商品名の分かりやすさもあって、働く女性を中心にご支持をいただいている。SNSでは効果を感じられたお客様から自主的な投稿も寄せられている」(片岡物産)という。
味の素AGF社が今年3月に新発売した機能性表示食品「〈ブレンディ〉毎日の腸活コーヒー」(以下、毎日の腸活コーヒー)にも注目が集まる。
これは、整腸効果を有するコーヒー豆由来の成分「コーヒー豆マンノオリゴ糖(コーヒーオリゴ糖)」を配合し、1日2杯・2週間の飲用で大幅な「お通じ」の改善効果が得られることをうたった機能性表示食品で、バイヤーの前評判も高く想定を大幅に上回って店頭導入が進んでいるという。
AGFは05年に同様の機能を持つトクホのインスタントコーヒーを発売した過去を持つが「パッケージでトクホを前面に押し出した結果、おいしさのイメージが湧きにくくなってしまい、トライアルにつながりづらかった。また、飲用いただいた方からも味わいに対して厳しい評価をいただく結果となり、なかなか定着にもつながらなかった」(AGF)と振り返る。
この学びを踏まえて今回開発された「ブレンディ」毎日の腸活コーヒーは、いつもの「ブレンディ」のおいしさをそのまま味わえることを念頭に置いたものとなる。
「開発研究所のメンバーとコーヒーオリゴ糖に合うインスタントコーヒーをゼロベースで見直し、パッケージデザインを含めて研究所と2年以上かけて試行錯誤して開発。おいしさと健康のイメージが定着化しつつある機能性表示食品として発売することに決めた」と語る。
商機としては、腸活に興味はあるものの「継続するのが難しそう」「お金がかかりそう」という理由で腸活を実践したことのない層に見込む。
「何か新しいものを食べたり生活習慣を変えるとなるとハードルが高くなってしまうが、『毎日の腸活コーヒー』はいつも飲んでいるコーヒーをこれに置き換えるだけといったハードルの低さがポイント。インスタントコーヒーは値ごろ感もあり継続しやすいのもウリ」と自信をのぞかせる。