医食同源生薬研究財団が公益財団法人認定 産学官連携強化へ

一般財団法人医食同源生薬研究財団は4月1日付で公益財団法人に認定された。今後は国や地方自治体と協力し、医食同源による具体的な活動を通して、産官学連携のもと人々の健康と日本の医療費削減に取り組む。

15日に開かれた会見では、同志社大学生命医科学部教授で同財団代表理事の米井嘉一氏、名誉会長で同財団に毎年1億円の寄付を行う東洋ライス代表取締役の雜賀慶二氏が登壇。米糠油に含まれる動物性脂肪依存を緩和させる機能など、玄米に含まれる成分の有用性や健康増進、疾病予防効果を示した。公益認定について米井氏は、内閣府、農林水産省、厚生労働省の各所から少子高齢化や医療費高騰、地方農業の活性化などの課題解決への協力を求められたことを明らかにしたうえで、「産官学が英知を結集し社会問題を減らすことに貢献する」とし、「あらゆる方策についてデータを提示し、政府や行政に働きかけていく」と述べた。

同財団は昨年4月に設立。人々の健康と日本の医療費削減のための「医食同源」の社会実装を目的に調査、研究、講演会を通した啓発活動を行ってきた。雜賀氏と米井氏は昨年、国民の多くが白米を主食としている点について生活習慣病の原因の一つであると仮定し、糠層を含む加工玄米の摂取により公的医療費が約4割削減した事例が判明したとする論文を共同で発表。現在は約500施設の保育園・幼稚園で約2千500人の子どもたちを対象に加工玄米が欠席率や「元気度」にどう影響するかの健康調査や、東北大学の加齢医学研究所と玄米の免疫機能、認知症や睡眠への影響について共同で研究している。

今後は晩婚化、高齢出産化に伴う妊孕性の低下に全粒穀物の栄養成分摂取が与える影響について医療機関の協力のもと研究し、少子高齢化の課題解決にも取り組む。

米井氏は自身の研究対象であるアンチエイジング(健康長寿)について「心身とともに経済的、社会的にも健康であることが重要」とし、「社会問題解決の第一歩として万病のもとである糖尿病を予防し、国民の健康増進を図ることが大切。結果として所得格差是正や増進などの解決につなげたい」とした。また、これまで高齢者中心に行われてきた健康増進について、20~30代や高校生、幼稚園児など将来国を支える若い層を中心に健康支援を積極的に行うことで、経済的、栄養学的弱者の救済も見込めるという。

農林水産省産学連携室長の齋賀大昌氏は、研究成果を社会実装するうえでスタートアップの取り組みが社会的な課題解決にとって重要だとしたうえで、同財団とも「これまで以上に協力関係を築きたい」と意欲を見せた。