みそ・醸造製品メーカーのハナマルキは4月から価格改定を実施する。値上げ以外にも引き続きコストダウンを進めるほか、独自の付加価値品「液体塩こうじ」を育成し、基盤のみそ事業を支える。花岡俊夫社長が昨今の取り組みについて語った。
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2021年の全体売上高は前年と変わらず198億円となった。内訳は、みそが1%減の98億円、即席みそ汁・菓子原料・塩こうじなどの加工食品は1%増の100億円となった。塩こうじは15・4%増の15億円となった。
みそは家庭用が引き続き増えているが、業務用の落ち込みをカバーできなかった。無理な販売はせず、9月以降は新商品「追いこうじみそ」に注力したことから販売単価が上昇した。即席みそ汁の「スグ旨カップみそ汁」は売場が広がり、回転もアップ。とても簡単にみそ汁を飲めるのが最大のポイントだ。
「液体塩こうじ」は家庭用、業務用を問わず販売好調で、売上げも増加している。海外向けは前年比2倍の伸びに。東アジア以外の地域ではこうじの香りに対する違和感が強いが、それでも採用されているのは肉をやわらかくしたり、匂いを消すなどの機能が評価されている。
そこで、ハラル対応の「HA液体塩こうじ」を開発した。同商品はこうじ独特の香りがほとんどしない。海外における「液体塩こうじ」の中心はやがて同商品に変わるだろう。
原料コストがかなり上昇している。海上運賃の上昇も大きい。販売を積極的に行いながら価格の上昇を抑えてきたが、将来を展望しても価格改定に踏み切らざるを得なかった。一つの流れの中で取引先の理解は得られている。
ただ、コスト高を値上げで賄えない状況が今後出てくる。自助努力によるコストダウンが価格改定よりもむしろ大事であり、当社も何チームか作り、目標を掲げて取り組みを始めた。合理化は絶えず行ってきたが、危機感が全く違う。
業界に健全な企業体がたくさんあることが理想だ。裾野が広くなければ山も高くならない。裾野というのは、みそ800社それぞれの企業活動がベースであり、それが弱まると山も高くならない。
みそが世の中から消えてなくなることはない。付加価値のあるみそを開発したり、現在各社が行っているように大きな土台であるみそをみそ以外のビジネスで支えていく。そうして会社を存続させねばならない。