「黒」と「白」が売場で競演!?
4月からの一斉値上げで、需要の伸びにブレーキが懸念されるビール。市場活性化を図るべく、15日からアサヒ、キリンの両社が相次ぎ大型新商品を発売した。
爽快な苦みとすっきりした後味の「アサヒ ザ・ビタリスト」、苦みを抑えたまろやかなおいしさの「キリン一番搾り ホワイトビール」。味わいだけでなく、それぞれ黒、白を基調としたパッケージも好対照だ。発売前日の同じ時間、両社がそれぞれメディア向けイベントを都内で実施した。
ビール好きが求める味わいのひとつ“苦み”を追求した「ザ・ビタリスト」は、アサヒのスタンダードビールとしては7年ぶりの新ブランド。香りと苦みが特徴のホップ品種を一部使用。「スーパードライ」でも使用しているキレを生み出す酵母により“もう一口飲みたくなる味わい”を実現した。
「スーパードライ、マルエフという成功体験があるなかで、あえて『苦み』という新しい切り口に挑戦した」。アサヒビールの新ブランド開発部・西村壮一郎部長が、新商品にかけた思いを語った(「アサヒ ザ・ビタリストCM発表会」で)。

CMには世界的に活躍する俳優の真田広之さんをはじめ、二階堂ふみさん、水上恒司さん、吉川愛さんら豪華な4人がそろい踏み。
「ビールだけでなく、人生においても苦みを愛する大人への敬愛の念を込めた」(西村氏)という商品コンセプトに寄せ、ビデオメッセージで出演した真田さんは「渡米して20年、言葉の壁、文化の違いなどで悔しい思いもしたが、それによって奮起させられた。苦みを味わったことが、成長する機会を与えてくれたと思う」と語った。
ビール、飲む人と飲まない人 両極の開拓進むか

他方、ビールを普段飲まない人たちに向けて開発されたのが「キリン一番搾り ホワイトビール」。ビールを「苦く重たい感じがして苦手」などと感じる人が多いことが調査で分かったといい、一部使用した小麦麦芽とともに無濾過製法を採用することで飲みやすい味わいを実現した。
「『こんなビールがあったんだ』と、魅力に気づいてもらいたい思いが出発点。現代の消費者が重視する“自分時間”に寄り添う存在として、苦みを抑えたこれまでにない柔らかな飲み心地、一口目から美味しいと感じるビールを開発した」。
そう説明したのは、キリンビールマーケティング部の木村正一氏(「祝!一番搾りの新定番『一番搾り ホワイトビール』誕生会」で)。「ビール=苦い」という既存のイメージを覆す新しいおいしさを持つビールとして、多くの人に自由なスタイルで楽しんでもらいたいと話す。
新しいおいしさを伝えるため、ビールCMには初登場となる岡田将生さん、小芝風花さんを起用。14日から放映開始した4篇で、初めて出会うビールにワクワクする二人の表情を伝える。
ビールユーザーが好む苦みでニーズを深堀りする「ザ・ビタリスト」、非ユーザーに飲みやすい味わいで新需要を掘り起こす「一番搾り ホワイト」と、アプローチも対照的な2品。奇しくもターゲットの棲み分けが図られたことで、売場の活性化が進みそうだ。
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