栄養ビタミン飲料、瓶タイプが多様化 「オロナミンCドリンク」「C1000」「キレートレモン」で

 栄養ビタミン飲料の瓶タイプ市場が多様化している。機能的価値を強化する動きがみられる一方で、おいしさや情緒的価値を追求する動きが活発化している。

 大塚製薬は「オロナミンCドリンク」で新たな取り組みとして、“子どもから大人まで誰でも美味しく飲んでいただける炭酸栄養ドリンク”という独自価値はそのままに、“誰かを元気にするコミュニケーションツール”であることを伝えていく。

 熊取谷(くまとりや)直毅ニュートラシューティカルズ事業部 製品部 オロナミンCプロダクトマーケティングマネージャーは「誰かを元気にしたいときに『オロナミンC』というイメージが浸透すれば、『元気ハツラツ!』が新たなかたちで広がっていく可能性がある」と力を込める。

 ターゲットは20代に一層フォーカスしていく。「オロナミンC」は今年で発売60周年を迎えるロングセラーブランドであり、幅広い世代に飲用されているが、さらなる成長のためには若い世代の引用促進が欠かせない。
 「20代が接触する媒体を上手く活用していきたい。デジタルだけではなく、リアルでも体験していただけるような施策も計画している」と述べる。

 ハウスウェルネスフーズの「C1000」ブランドは、旗艦アイテム「ビタミンレモン」を中核とする商品群で嗜好性を強化。クエン酸入り商品とコラーゲン・ヒアルロン酸入り商品を除いた商品群を新生「C1000」として2月中旬から順次商品を展開している。

 山岡潤事業開発二部第一グループマネージャーは「ロングセラーのブランドのため、これまで大幅なリニューアルは行ってこなかったが、それがブランドの活性化を阻害していた側面もあった。“もうひと頑張りしたいとき”といった限定したシーンだけでなく、もう少し日頃から気軽に飲んでいただけるような味わいにした」と語る。

 この考えのもと「ビタミンレモン」と「ビタミンゼリーレモン」は、“ビタミンC1000mgを配合”のコンセプトはそのままに、「ビタミンレモン」史上初めてレモンピールエキスを加えて嗜好性を強めた。

 「ビタミンゼリーレモン」は、飲みやすさに定評があり手を加えないという選択肢もあったが「ドリンクの方針がしっかり固まったことから完全に足並みを揃えることにした」との考えのもとピールエキスを加えた。
 「ビタミンオレンジ」は、ピールエキスを加えずに「少しオレンジとしての複雑味をイメージした」。

 主要商品の中身の大刷新に伴い、「ビタミンレモンクエン酸」を除くドリンク全品と「ビタミンゼリーレモン」のパッケージは、複雑味のあるおいしさも訴求すべく、レモンやオレンジのシズルを大きくあしらった。

 「C1000」主要商品の大刷新を機に、クエン酸入り商品は主要商品と大別し、機能的価値に特化していく。「クエン酸を多く配合した商品は従来の栄養補給的な飲まれ方を突き詰めていく」との考えを明らかにする。

 レモンの価値や機能性が支持されて勢いづくのは、ポッカサッポロフード&ビバレッジの「キレートレモン」ブランド。

 ポッカサッポロは「レモンの健康価値が向上した結果、“レモンの健康価値体験飲料”である『キレートレモン』ブランドを手に取っていただけた。『キレートレモン』本体を中心に、特定の悩みにフォーカスした『MUKUMI』や『クエン酸2700』シリーズの機能性表示食品が好調に推移した」と振り返る。

栄養ドリンク市場 出典:インテージSRI+
栄養ドリンク市場 出典:インテージSRI+

 インテージSRI+によると、医薬部外品を除く栄養ビタミン飲料を包含する栄養ドリンク市場は、2021年から拡大傾向にあり、24年はほぼ横ばいで着地した。

 「オロナミンCドリンク」「C1000」「キレートレモン」が属する瓶タイプもほぼ横ばいとなった。今年は前述のとおり、活性化に向け多様化の動きがみられる。

 ボリュームゾーンは「エナジードリンク」と称する商品が多く占める滋養強壮系のSOT缶タイプ。右肩上がりに成長し市場を牽引してきたが、24年は微減となり、これには滋養強壮系のボトル缶タイプへ流出が進んだことが一因とみられる。

 ボトル缶タイプは同時期、 23.7%増と大きく伸長した。

 この動きについて、インテージの市場アナリストの木地利光氏は「ボトル缶は、リキャップでき、すぐに飲み切らなくても自分のペースで飲めることや、外出の機会が増える中で持ち運びできる点などが支持されたと見て取れる。ボトル缶で人気の商品は、400~500mと容量の大きいものが中心となっており、容量当たりの単価が低くコスパが良いことも好調の要因として挙げられる」との見方を示す。

株式会社アピ 植物性素材