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飲料嗜好飲料「日東紅茶」水出しアイスティー市場の拡大へ大規模プロモーション 「今年が勝負の年」と位置付けシェア拡大へ
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

「日東紅茶」水出しアイスティー市場の拡大へ大規模プロモーション 「今年が勝負の年」と位置付けシェア拡大へ

 三井農林は今年、「日東紅茶 水出しアイスティー」(以下、「水出しアイスティー」)の認知拡大とシェアアップに向けて様々なマーケティング施策を予定する。

 3月17日、取材に応じた竹田一也企画本部商品企画・マーケティング部部長は「『日東紅茶』は水出しアイスティー市場のパイオニアでありトップブランドでもある。近年は市場が拡大し、これに伴い競合ブランドが台頭する中で、30年以上展開してきた当社としては、“今年が勝負の年”と位置付けている」と力を込める。

 1981年、烏龍茶で水出し市場に参入し、翌年の82年に「水出し紅茶」を発売した。当時、他社の水出し・煮出しの麦茶ティーバッグでTVCMが大量投下されるなどして売場を賑わし、そのトレンドを受けた動きとみられる。

 当時はホームユースサイズで1L用のティーバッグを展開。世帯人数の減少などを受け500ml用のティーバッグのパーソナルユースに転換したのが2018年。商品名も現在の商品名に改めた。ただ、発売当初は顕著な伸びはみられなかった。

三井農林の竹田一也氏
三井農林の竹田一也氏

 「店頭の棚の上の端に置いてあり、一部の紅茶好きの方しか買わないニッチな季節商品だった。売れる期間も短いため、例えば北海道など寒冷な地域では置いてもらえないことも多かった」と振り返る。

 転機が訪れたのはコロナ禍だった。

 「在宅時間の増加に伴い、一日に何杯も嗜好飲料を飲むようになる中で、無糖系のものが好まれ、紅茶もティーバッグが伸長した。ティーバッグの場合、一杯分ずつ抽出しなければならないのに対し、『水出しアイスティー』は一度に500mlをつくれる。家庭内においてもマイタンブラーに入れ一日かけて飲むのに適しているということで新規ユーザーを多く獲得した」と語る。

 その後、人流回復以降も、新規ユーザーの定着化が図られ、競合の参入もあり、市場は右肩上がりに拡大。

 現在の水出しアイスティーの市場規模は約5億円と推測される。「日東紅茶 水出しアイスティー」シリーズの売上も拡大を続けており、2024年度上期(3月期)の販売数量は前年同期比18%増を記録した。

 水出しアイスティーは約200億円と推定される紅茶市場の1割にも満たない規模だが、将来は、地球温暖化・節約志向の高まりなどを背景に、さらなる成長を見込む。

 地球温暖化の影響により、特に4-5月、9-10月の気温上昇が顕著であり、夏が長期化している。この変化により、アイスティーの需要がますます高まると同社は推測する。

 物価高による節約志向の高まりも追い風とみている。

 「現在のユーザーを調べると、ペットボトル(PET)のコーヒーや紅茶を飲んでいた方の流入がみられる」という。

 マイタンブラーの普及にも着目する。
 日本宅配水&サーバー協会が2023年に行った、2030人を対象にした調査によると、全体の75.7%がマイタンブラーを使用していた。そのうち、54.2%と半数以上は「お茶」を入れていたという。

 同調査については「コーヒーと比較してお茶が選ばれる理由として、止渇性の強さや、経済的なイメージが影響しているようだ」との見解を示す。

 市場ではマイタンブラー向けのパウダードリンクが発売されるなど多様化する中、「水出しアイスティー」ならではの味わいに勝算を見込む。

 「抽出に時間を要し、PETなどと比べて簡便性は劣るものの、茶葉から冷水でゆっくり抽出するからこそ、茶葉本来の味わいや爽やかな香りが楽しめる」と胸を張る。

 安心して飲める工夫としては、シリーズ全品で過熱式水蒸気を利用した気流式殺菌を実施している。
 これについては「殺菌に関する制約や規約は定められていないが、紅茶葉は完全に無菌のものではない。そのため水出しで飲まれる場合は、多少コストはかかるものの、安全性を入念に担保したいと考えた」と説明する。

 今後は、水出しアイスティー市場全体の拡大とシェアの拡大を目標に掲げる。

 「現在は水出しアイスティー市場における当社のシェアは50%ほどだが、市場全体を拡大した上で、60%まで高めていきたい」と意気込みを語る。

 目標達成に向けて、今年2月25日に「アップルルイボスティー」(10袋)と大容量品「アールグレイ」(20袋)の2品を新発売した。

 「アップルルイボスティー」は、りんごの甘い香りが特長のルイボスティー。カフェインレスニーズへの対応や、清涼飲料市場でのルイボスティー人気を受けて開発された。

 「アールグレイ」(20袋)は、紅茶の定番フレーバーである「アールグレイ」(12袋)のヘビーユーザーに向けて発売している。事前に店舗でテスト販売をしたところ、12袋入りとのカニバリも少なく、好調だったことから発売に踏み切った。

 2品とも滑り出しは上々。

 「『アップルルイボスティー』はコンビニチャネルでも採用され、計画予定数を達成する見込み。『アールグレイ』の20袋入りは、商品自体が大きいため、売り場が大きいチェーン店さまで特に採用されている」と述べる。

 豊富なバラエティによる買い回りも見込む。

 ラインアップは現在、「アールグレイ」(12袋)「トロピカルフルーツ」(12袋)「はちみつレモン」(10袋)「マスカットグリーンティー」(10袋)の既存品と合わせて5フレーバー、6SKU。

 最盛期の夏場に向けては、大規模プロモーションを4月中旬から順次展開し、「水出しアイスティー」の認知や飲用経験率を上げていく。

 「水出し抽出の経験率は、麦茶で60%ほどあるのに対して、紅茶は10%ほどしかない。『水出しアイスティー』を知らない、飲んだことがないという方がまだ多く、伸びしろがある」とみている。

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