世界各国の料理を提供している牛丼チェーン店の松屋は、スリランカ料理「デビルチキン」の本格メニュー化に向けてテスト販売を開始した。3月25日から4月1日まで試験的に販売し、売れ行き次第では本格展開に踏み切る。初日の25日には半日で20~30食を売り切り、上々のスタートを切った。
「デビルチキン」の「デビル」=「悪魔」だけに、ネーミングはインパクトがある。スリランカでは味付けに辛子やチリソースなど辛い調味料を使う料理は、「悪魔」のような辛い料理として「デビル」と名付ける。だが驚くほどの辛さではない。鶏肉や玉ねぎ、ピーマン、トマトなどを炒めてチリパウダーなどを加えれば、辛さの中にトマトの旨味や玉ねぎの甘みが加わり、病みつきなるスパイシーな味わいにかわる。カレーのようにご飯や炒飯と一緒に食べると更においしい。スリランカでは「デビルチキン」は家庭料理として一般的に親しまれており、子ども向けのおやつや、ビールのおつまみとしても親しまれ、チキン以外に豚肉や魚を使ってもおいしい。

松屋はジョージアやポーランド、リトアニア、アルゼンチンなど世界各国の郷土料理を提供しており、大使館を通したつながりはスリランカが6か国目。昨年夏前に代々木公園で行われたフェスティバルでスリランカ料理の関係者と出会ったのがきっかけ。昨年12月からメニュー化に向けて本格的に動き出した。開発担当者は何回もミーティングを行い、本格的なスリランカの味を再現するために試行錯誤を繰り返した。中でも材料の調達には最も苦労したと言う。
スリランカにとっても、大手チェーンレストランとタッグを組むのは初めての試み。新メニュー提供の初日に六本木4丁目店を訪れた駐日スリランカ大使館のセサット・タンブガラ臨時代理大使は、メニュー化に至った経緯について、「本格的なスリランカの味を再現するために、松屋さんには丁寧に説明してもらった。全国的に多くの店を出店している松屋さんの存在も魅力だった」と言う。

松屋では1週間のテスト期間をみて、想定数を上回れば次のステップに進める。製造体制や販売のタイミング、他メニューとの調整等も検討。新メニューが全店採用されるとすれば、3か月か半年後位先になると言う。
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