亀田製菓、持続可能な稲作に貢献 地元・新潟のコメ農家と連携 共同出資で合同会社設立

 亀田製菓は持続可能な稲作に貢献すべく動き出した。

 2月5日、地元・新潟のコメ農家と連携して、コメ農家5人との共同出資で新潟県阿賀野市に合同会社ナイスライスファームを設立した。

 持続可能な米の調達活動を推進することで、さらなる成長と企業価値の向上を図るのが狙い。

 ナイスライスファームが持つ約28haの田圃でコメの栽培を計画。地元農家の知見や技術を活用して地域に根差した取り組みを進めていく。

 亀田製菓の出資比率は16.7%。収穫されたコメの全量がJAに販売され、亀田製菓はこのうち45トンを米菓原料として仕入れる。現時点で、商品化のタイミングや商品詳細は決まっていない。

 初年度は、「こしひかり」「こしいぶき」など新潟県の推奨品種全般を生産し、収穫量は約145トンを見込む。

 次年度以降は「規模を拡大していきたいと考えているが、具体的な数値計画はない」(亀田製菓)という。

 出資・買い取り以外の連携については「気候変動に強い品種の開発なども共同で行いたい」との考えを明らかにする。

 ナイスライスファーム設立の背景には、稲作農業従事者の高齢化がある。若い世代の担い手が不足しているほか、離農者や耕作放棄地が増加し、需給バランスが崩れる恐れがある。

 全国米穀販売事業共済協同組合が公表している「米穀流通 2040 ビジョン」では、2040 年にはコメの国内需要が生産量を上回り、国内需要量を国産だけでは賄いきれない可能性があると指摘されている。

 この課題に対し、亀田製菓は地元農家に加えて JA新潟かがやきあがのアグリセンターや地元自治体とも協力し地域全体の農業振興や課題解決に取り組む。

 ナイスライスファーム代表社員の斉藤毅氏は「今後も営農を継続 するうえで、後継者育成や労働力の確保、機械設備への投資高騰など個別経営体では対応が困難な多くの課題を抱えている。このような環境に打ち勝つべく、創業以来、地域とともに歩んできた企業である亀田製菓との連携による合同会社を設立することとした」とコメントする。

落穂拾いをする白鳥
落穂拾いをする白鳥

 ナイスライスファームの拠点となる阿賀野市内にある瓢湖は白鳥の飛来地として国の天然記念物に指定されている。

 「白鳥が飛来する美しい土地で栽培した、おいしくてナイスなライスをお客様にお届けし、新潟のお米の魅力を広め、新潟県産米の需要拡大につなげていく」(亀田製菓)と意欲をのぞかせる。

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