トンボ飲料(富山県富山市)は10月から、クリスマスの乾杯飲料として知られる炭酸飲料「シャンメリー」の製造している。
シャンメリー製造は、クリスマス商戦に向けて、毎年10月から12月頭にかけて行われ、10月下旬にピークを迎える。
同社の売上の屋台骨は受託生産とゼリー飲料。子会社・バランス社のゼリー飲料にシャンメリーやサイダーを含めた自社商品は2割程度の売上構成比となり、シャンメリーは主流ではないものの「非常に大事な商品」と翠田章男社長は位置付ける。
10月10日、翠田社長は清飲記者会研修会の取材に応じた。
自社商品については、ブランディングできるものに限り展開している。その点、ラムネは日本最古のラムネブランドを展開していたが、2021年、同社としては、ブランディングは困難との判断のもとラムネ事業から撤退。
「トンボ飲料はシャンメリーをやっていこうと考えた。シャンメリーはやりようによっては付加価値が生み出せる。これから30年、40年とまだまだ続けられる商品だと思っている」と力を込める。
シャンメリーについては、清涼飲料水で唯一無二となる開栓音にワクワク感・ドキドキ感の創出や愛情表現といった独自価値を見出す。
シャンメリーは、Dラインと呼ばれる炭酸飲料・自社商品専用ラインで約2か月間製造される。
Dラインでは、シャンメリー以外に「富山ブラックサイダー」やアルコール0.00%の本格ノンアルコールスパークリング(ワインテイスト飲料)の「セレブレ」の製造を担っている。
通常時、1分間に75本を充填・密栓し1日3万本のシャンメリーを製造。稼働時間は8時15分から17時ごろまで。
取材時には、10日前に導入した新・打栓機が稼働。
打栓機は、充填された瓶容器を密栓するもの。新・打栓機は、“キャップが浮く”“密栓できずにキャップが脱落する”といった従来の打栓機の不具合を防止。従来の打栓機では、不具合は多い時に1日100本程度出ていたという。
Dラインは充填室と仕上室(包装)に大別される。充填室では調合液をプレート式殺菌機に通して95℃の熱で殺菌。その後、調合液は冷却されタンク内に入る。タンク内には炭酸ガスが充満し、ここを上からシャワー状に降下することで炭酸ガスを吸収する。
瓶容器は、デパレタイザーでパレットにまとめられたものが別室から供給される。デパレタイザーは横から瓶容器を挟む込み1つのパレットに1600本を積み上げる。
仕上室では、打栓後、パストライザーで製品外観を後殺菌し、ラベラーでラベルが貼られた後、ピロー包装機で外装される。
人気キャラクターをデザインしたシャンメリーも手掛けるトンボ飲料では、外装とラベルに重きを置く。
「従来のシャンメリーはピロー包装をはがすと瓶にはラベルが貼られていない裸の状態であった。これだとやはり夢がない。当社ではドキドキ・ワクワクしていただけるよう、複数のラベルを用意して袋を開けるまで分からないようになっている」と説明する。
繁忙期には、ピロー包装機をもう1台稼働し、充填・密栓能力を通常時のほぼ倍速となる1分間145本程度に引き上げることもできる。
箱詰めは人手で行う。4人体制で2人は外観を検査し、残りの2人で箱詰めする。1ケース(1箱)24本入りで重量は24キロ。ケースのパレット積みには、従業員の負担軽減を目的に昨年導入した荷役機器のラクラクハンドが稼働している。