価格を巡る攻防

10月に値上げされた食品は3千品目に迫り今年最大という。その一方で、大手小売業はPBの値下げを大々的にアピールする。業界を挙げて値上げ基調にシフトしてきたのに、安売りはその流れに水を差す。取引先のメーカーなどから聞こえてくるのは、こうした声だ。

▼でも、そればかりではない。PBを受託するメーカーの社長は「何でもかんでも値上げという世の中から、取り残される人も少なくない。その人たちの生活を守るためにも一定の低価格品は必要」と話す。先日のアメリカ大統領選も物価高への反発がトランプ氏勝利の一因だったと言われる。

▼とはいえ、このメーカーは安売りを素直に受け入れるつもりはない。「PBはあくまで余力で受けるもの。主力はNBであり、それをきちんとした価格で売ってもらわなければPBの安売りは容認できない」と力を込める。

▼価格訴求がやっかいな理由はまだある。指摘するのは卸売業の幹部。「買上点数を上げたい気持ちは分かるが、そのために安値が浸透するのは困る」。価格を巡る攻防は、まだまだ終わりそうにない。

株式会社アピ 植物性素材 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)