キリンビバレッジ 自販機で反転攻勢 構造改革進み収益力に自信 法人ロケーションを開拓へ

キリンビバレッジは今年、自販機で攻めに転じる。不採算自販機の撤去や優良ロケーションへの設置といった構造改革に目途が立ったため。吉村透留社長は「自販機ビジネスには、のべつまくなしに設置してきた歴史があり、その中には儲からない自販機や同じ自販機の中でも売れば売るほど赤字になる商品もあった。そういうものをできるだけ削減し昨年、チャネルとしてやっと収益力に自信が持てる状態になった」と語る。

自販機ビジネスでの収益拡大に向けては、ヘルスサイエンスやCSVを軸足とする。

「ヘルスサイエンスをテーマにしたカラフルなデザインの自販機などを検討していくほか、自販機でもCSVを体現していきたい。そういったテーマ性を持たせて提案していく。自販機はわれわれの直営店でもあり、会社として考えていることを一番表現しやすい」との考えを明らかにする。

CSVを体現した好例に「みまもり自動販売機」がある。同自販機は、地域の防犯に貢献するもので自販機内のダミーの目線の高さに独自開発の小型カメラを内蔵している。

2018年7月に設置開始し、23年10月末日時点で設置台数は約80台に上る。

環境にも対応。日本自然エネルギーと「グリーン電力証書」に関する包括契約を締結し、GHGの排出量を実質ゼロにする「グリーン電力自動販売機」を1月以降全国で順次展開している。

「グリーン電力自動販売機」は、稼働に必要な年間消費電力量に相当する「グリーン電力証書」を取得することで、その自販機は「グリーン電力」を使用したとみなされ、GHGの排出量を相殺することが可能になる。

「グリーン電力証書」や「CO2の排出量実質ゼロ」を掲げたPOPを掲出することで、地球環境の保全に貢献する自販機であることを訴求している。

優良設置先として、法人ロケーションの開拓を強化する構え。

健康経営の提案として、キリンが運営する健康経営トータル支援サービス「KIRIN naturals(キリンナチュラルズ)」とのセット提案を視野に入れる。

「オペレーションが似ていることから自販機とのセットで『KIRIN naturals』の食品置き型サービス『ウェルネススタンド』を提案しやすい。物を売っているだけではダメで、ウェルネス動画を視聴していただくだとか、健康のソリューションと連動して提案していく」と語る。

自販機での需要喚起にも取り組む。「せっかくだったら自販機でものを買いたいと思っていただけるような提案も今練っており、今年は自販機については攻めに転じる年と位置付けている」と意欲をのぞかせる。