明治は24年度、既存商品を含めた商品の磨き上げを図る。一部商品は価格改定以降「価格に見合う価値を伝え切れていない」といった課題があることから、価値を分かりやすく伝えるパッケージや付加価値を高める新商品を通して、新規顧客獲得と買い上げ点数アップにつなげる。
同社の23年度第3四半期は増収増益で着地した。業務用は人流回復でクリームチーズやバターが大きく伸長。家庭用は大型マーガリン・チューブタイプバター、冷凍食品のグラタンドリアなどが牽引し、「銀座カリー」「丸ごと野菜カレー」も前年超えで推移した。
市場全体が低迷するチーズ事業は、物量に課題があるものの金額ベースで前年を超え始めた。なかでも苦戦していたカマンベールは提案を強化した11~12月に回復の兆しが見え始めたことから、この動きを加速させる。
2月19日に行われた乳製品・調理食品の新商品説明会で、三井基史執行役員グローバルフードソリューション事業本部長は「第3四半期は明治の底地力を見せることができた」と手応えを語る。
そのうえで「ここ2年間の連続値上げで、新たな付加価値を提供できている商品がある一方、棒上げ商品は販売数量を落としている」と課題点を示し、商品の価値訴求を一層強化する方針を掲げた。
3月1日発売の「明治北海道十勝スマートチーズ 熟成チェダーブレンド ブラックペッパー入り」(90g、税別340円)は、同シリーズ5年ぶりの新商品。ヘビーユーザー層の購入個数が伸長していることから、初めて手に取る人にも商品の魅力が伝わりやすいブラックペッパーで間口拡大を図る。量販店からの評価も上々といい、既存品と併せた3品体制を提案する。
カマンベールは、コア層の60~70代に加え30~50代の次世代層獲得を目指す。「明治北海道十勝カマンベールチーズ燻製」(90g、560円)は酒との相性やシリーズ認知を高めるデザインに刷新。父の日に合わせて6月1日から「同 切れてるタイプ ブラックペッパーガーリック風味」(560円)を全国一斉発売する。
同社が強みとする国産シュレッドチーズは、輸入原料チーズの価格が上がった際にトライアルが増え、十勝産ならではのおいしさが伝わったことでリピートがついた。3月1日から生食可能で汎用性が高い細切りタイプの「明治北海道十勝熟成3種の細切りチーズ」(120g、400円)を投入した。
油脂部門では、豊かなコクとバターの風味が特長の「明治コクと香りのバター風味ソフト」(280g、280円)を投入。3~5月は既存商品の20g増量企画を予定。
「明治スプレッタブル」(130g、380円)、「同 発酵バター配合」(130g、400円)はクリームチーズの配合変更で乳風味をアップした。限られた素材を組み合わせたおいしさと安心感を伝えるため、パッケージを「これ以上ないほど分かりやすく」した。
同社によれば、マーガリン市場はパン市場の好調もあって堅調に推移した。価格とおいしさの両立が支持されるバター入りやリッチタイプの大型商品が牽引している一方で、未購入理由として、特長が分からない・原材料が安心できない・トランス脂肪酸が多そうとする声が多く、商品価値が明確に伝わっていないことが明らかになった。
4~6月にかけて「明治十勝チーズ」全品とチューブ商品群、コーンソフト2品、スプレッタブル2品を対象に、ディズニーとのタイアップパッケージ(全38種類)を展開する。