キリンビバレッジ CSVを基軸に収益力向上 ヘルスサイエンス領域と基盤ブランドで実践

 キリンビバレッジは今年、CSVを基軸とした強いブランドづくりに取り組み収益力向上を目指す。

 2024年は売上収益合計で前年比5%以上の増加を計画する。

 計画実現の中核商品に位置付けるのが「プラズマ乳酸菌」入り飲料となり、「プラズマ乳酸菌」入り飲料を含めたヘルスサイエンス領域では、売上収益で20%以上のプラスを目標に掲げる。

 1月25日、事業方針発表会に臨んだ吉村透留社長は「24年事業方針策定にあたり、キリンビバレッジの強みを最大限に活かしたCSVの実践が我々の持続可能な成長との認識を新たにした」と語る。

 CSVの実践には、健康・環境・コミュニティの3つの柱を挙げる。

 「例えば健康では『プラズマ乳酸菌』入り飲料を通じて、お客様に免疫ケアという健康価値をお届けする。コミュニティの一例としては『午後の紅茶』を通じたスリランカや熊本県への支援が挙げられる」と説明する。

 持続的な成長を支える事業基盤を強化するとともに、おいしい健康を実現する強化なブランド構築に取り組む。

 ブランド構築の最注力カテゴリーとなる「プラズマ乳酸菌」入り飲料は23年、36%増の896万ケースの販売数量を記録。
 これが牽引してヘルスサイエンス領域の販売数量は18%増の2469万ケースとなった。これにより飲料全体に占めるヘルスサイエンス領域の構成比は22年比3ポイントアップの13%に上昇した。

 24年は、「プラズマ乳酸菌」入り飲料で38%増の1240万ケースの販売数量を計画する。

 「今年もヘルスサイエンス領域の商品、とりわけ『プラズマ乳酸菌』入り飲料の成長を加速させる。高付加価値・高単価商品 市場の創造でも高収益化を実現していきたい」と意欲をのぞかせる。

 「午後の紅茶」「生茶」など基盤ブランドについては、高付加価値・高単価とCSVの2つアプローチで磨きをかけていく。

 基盤ブランドにおけるCSVの進化については「ブランドパーパスなどは大きく変わるものではないと考えており、とにかく今取り組んでいることを進化させる。成果につなげて、最後はしっかり収益につながるというサイクルにしていくことがCSV」との見方を示す。

 高付加価値・高単価の取り組みとしては、23年に立ち上げた「午後の紅茶 TEA SELECTION」シリーズの一部商品を定番商品として通年化する。

 「生茶 リッチ」は上期(12月期)、自販機での展開を予定。

 「ファイア」ブランドからは、香りをテーマに報酬感ニーズに応える新シリーズ「アロマブリュー」を投入する。

 23年は、高付加価値・高単価商品で十分な手応えが得られたという。

 「消費の二極化が進むなかで“ちょっといいものが欲しい”というマインドがお客様のなかに広がっている。そのようなマインドにお応えできる商品を、しっかりコミュニケーションとのセットで作らせていただき多くの方にご理解いただくことができた」と振り返る。