ロッテの牛膓栄一社長は1月30日、「ちょこっと幸せ研究所」設立発表会に登壇し、昨年9月に実施したチョコレート商品の価格改定後の動きに触れ「チョコレートは必需品に入ってくるのではないか」との見方を示す。
昨年9月の価格改定は、コストの大幅増を受けた措置。
「為替の問題や、カカオ豆が23年1月頃に比べて1.8倍高騰し、これまでと比較にならないくらいのコスト高になり事業継続のためには値上げせざるを得なかった」と振り返る。
価格転嫁の手法には、新技術の導入などによって付加価値をつけるやり方や価格据え置きで内容量を減らす減量値上げがあるが、これらの手法では高騰するコスト増の吸収は困難と判断。加えて、減量値上げは「ブランドの形自体が変わってしまう」恐れもあった。
こうした背景から、牛膓社長は不安を抱きながらも価格改定を決断した。
「40年間この業界にいてインフレというのを経験したことがなく、本当に不安だった。他のブランドに流出するというよりも、パンや他のカテゴリーに移る心配が多分にあった」と吐露する。
価格改定後、10月後半まで売上げが低迷。「これは失敗したと思った」が、のちにこの低迷は、猛暑によるものであることが判明。11月から再び上昇基調にある。
23年4-12月のロッテのチョコレートの売上前年比は、「ガーナ」が牽引役となり市場の伸びを上回る1ケタ後半のプラスを記録した。
「現在は、販売個数も売上金額も前年を回復して非常に有難いこと。ここで気がついたのは、やはりチョコレートは、他の食品とは異なるベネフィットを持った本当の必需品ではないかということ」と語る。
チョコレートの必需品たりうる最たる価値に“ココロの幸せ”を挙げ、今後、この価値提案に磨きをかける。
ロッテのチョコレート事業が60周年の節目を迎えた2月1日、「ちょこっと幸せ研究所」を設立。新たにチョコレート事業のパーパス「もっとチョコのこと Sweet at Heart」を掲げる。
このパーパスの傘下にあるテーマの1つが“ココロの幸せ”。そのほか“カラダの健康”と“サステナブル”をテーマに掲げる。
「ウェルビーイングが求められる世の中で、チョコレートがいかに幸せをもたらせるかを一生懸命研究していく。チョコレート市場の活性化にも貢献したい」と意欲をのぞかせる。
会社全体としては今後、社会的価値向上や各カテゴリーでの価値提案に重きを置く。
「今、お客様から求められるのは社会的価値やサステナビリティで、これらに貢献していくことが企業としての成長だと考えている。世の中に貢献できることは何かを理解し、変化する時代や価値観に先行して対応していける会社にしていく」と述べる。