生乳需給の現状と課題 多彩な国産チーズで需要拡大へ

一般社団法人日本乳業協会は1月22日、酪農乳業専門紙誌が加盟する酪農乳業ペンクラブの冬季研修会を開催。農林水産省畜産局牛乳乳製品課課長補佐の中村輝実氏が「最近の酪農乳業事情について」と題し講演した。

中村氏によれば、2023年4~10月の生乳生産量は427万tで前年同時期を4.6ポイント下回った。近年の生乳生産量は、国の基盤強化策のもと19年度に4年ぶりの増産に転じ21年度まで増加傾向にあったが、コロナ禍の外食需要停滞、飼料価格高騰などによる厳しい酪農経営環境や高齢化に伴う離農などを背景に22年度以降は減少している。

牛乳消費が落ち込むなか、長期保存が可能で需給調整の役割を担う脱脂粉乳・バターの生産量が増加し、近年在庫を積み増す情勢となった。足元ではバターの需要が回復している一方、脱脂粉乳の高い在庫が引き続き課題であることから、国は飼料用に脱脂粉乳を販売する取り組みや、新たなヨーグルトやプロテイン飲料など多目的原料として脱脂粉乳の利用を促す支援策を講じている。国産チーズの競争力強化にも力を入れる。

「脱脂粉乳の在庫が積み上がると結果的に酪農家に乳価としてしわ寄せがくる。需要をみながら乳製品を製造する際、需給の調整役としてチーズがあがってきた」(中村氏)。

国産チーズ生産奨励事業では飼養や乳の品質管理高度化に係る一部費用を支援するほか、チーズ工房などの生産性向上、国内外のコンテスト参加に向けた支援などを継続。「まだ作られていない価値ある国産チーズのバリエーションを増やし、国内でのブランド化や海外輸出を増やしたい」と支援事業の狙いを説明する。

一方で、国産チーズ消費拡大に向けては課題もある。「内食・外食で使われるチーズの種類や適正価格が変わる。外食で主に使用される輸入シュレッドは国産の半分以下というなか、国産と輸入で種類を区分けしていかなければシェアが取れない」(中村氏)。熟成時間を要するなど生産コストの面でも、国産で外食向けの展開は難しいのが現状だ。さけるタイプのチーズなど、海外であまり作られていない商品の輸出に向けた動きもみられている。

今後の国産チーズの展開についてメーカーからは「品目によって配合、味わい、価格をどうするか、販売戦略など含め需要を見据えながら考えていく」(雪印メグミルク)、「国産では『十勝ブランド』を持つが、輸入と国産のバランスや需給状況を踏まえ検討していく」(明治)、「昨年、国産モッツァレラの味付きタイプを出した。国産チーズをより手軽に楽しんでもらえるよう消費拡大に取り組む」などの声が聞かれた。

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