【訃報】福地茂雄氏 アサヒビール元社長 グループ経営の礎築く

アサヒビール(現アサヒグループホールディングス)元社長の福地茂雄氏が、1月29日に脳出血のため死去した。89歳。葬儀は近親者で執り行われた。後日お別れの会を実施する。

福地氏は1957年アサヒビール入社。営業部長、取締役大阪支店長などを経て93年に専務取締役就任。99年から代表取締役社長、02年から代表取締役会長兼CEO。06年に退任し、15年までアサヒGHD相談役を務めた。企業メセナ協議会理事長、NHK会長、新国立劇場理事長などの公職も多数歴任した。

経営改革と総合酒類メーカーへの大転換に、大きな貢献を果たした福地氏。

86年の「アサヒ生ビール」発売にあたっては、営業部長として「100万人の大試飲作戦」を陣頭指揮。2021年の復活発売を経て「マルエフ」の愛称で親しまれる、現在のブランドの礎を築く。社長在任中は歴史的ヒット商品「スーパードライ」の育成に心血を注ぎ、今日に至るビールトップブランドの地位を盤石なものとした。

当初は否定していた発泡酒についても方針を大転換して発売に踏み切り、01年には国内ビール類市場で48年ぶりの首位を獲得。今も功績として語り継がれる。

逝去にあたり、アサヒGHDの小路明善会長は「グローバル化やキャッシュフロー重視の経営など、現在のグループ経営の礎を築き上げた立役者。『お客さまの満足』を追求し、健康で豊かな社会の実現に貢献することを体現した温かいリーダーだった」との談話を発表。

勝木敦志社長兼CEOは「アサヒビールとニッカウヰスキーが営業統合した当時の社長であり『社員を出身で差別することは許さない』の言葉には、ニッカ出身者として深く感動した。総合酒類化やグローバル化に向けたM&Aの推進では、会長の立場から多くの薫陶を受けた。持続可能な社会の実現と企業価値の向上を果たし、恩返しをしたい」と悼んだ。

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